【Gunosy・COO竹谷氏×Telescope・CEO山内氏】 一歩ずつ着実に前進する起業家とそれを支えるエンジェル投資家
自動車アグリゲーションサービス『SUNROOF(サンルーフ)』を運営する株式会社Telescope・CEO山内遼氏と株式会社Telescopeにエンジェル投資(スタートアップの起業家に個人的に投資をすること)を行っているGunosy・COO竹谷裕哉様にお話しを伺いました!
順調に成長を続けているSUNROOFについてはもちろん、山内氏と竹谷氏の出会いや日頃お二人がどのようなやりとりをしているかなど、そういった部分は非常に興味深いかと思います。
まず2年後、そして10年後に日本を始め世界を牽引する企業になるであろう株式会社Telescopeから目が離せません。
【プロフィール】
竹谷 裕哉(たけたに ゆうや)
早稲田大学創造理工学部経営システム工学科卒業。グリー株式会社を経て株式会社Gunosyに参画。2013年8月取締役最高執行責任者に就任。2016年8月より代表取締役最高執行責任者に就任。
山内 遼(やまうち はるか)
岡山県岡山市出身。小学生から中学生にかけて3年間エジプトに住んだ後日本に帰国。東京大学在籍(学年不明)、東大起業サークルTNK12期代表。2016年7月7日に株式会社Telescopeを創業。2017年6月に自動車比較メディア「SUNROOF」をリリースし、半年で月間ユーザー10万人を達成。
インターネットのカーディーラー『SUNROOF』
株式会Telescopeは、CEO山内氏を中心に2016年に創業されました。2年以内に日本を代表するベンチャー企業になり、将来的には宇宙事業に挑戦することをビジョンとして掲げています。
現在は、ビジョンを実現するための第一歩として自動車比較メディア『SUNROOF』を開発・運営しています。
「インターネットに親切なカーディーラーを再現する」をミッションとし、日本中に散らばった自動車情報を一元に集め、最高の一台に出会える体験をユーザーに提供しています。
「2年後にインターネットの自動車領域で1位になることは見えている」という山内氏の力強い言葉は、山内氏の合理的にゴールへ向かう姿勢と竹谷氏とのメンタリングで強化された戦略に裏付けられています。
そして、その言葉通り、SUNROOFは着実に成長を遂げています。それを証明するように、リリースから1年経たずして月間ユーザー数は20万人を突破するなど半年で6.5倍の成長を達成ました。
順調に資金調達を行い、これからさらなる活躍が期待される『SUNROOF』ならびに株式会社Telescopeに注目です。
投資先を選んだ決め手は「人柄」
(写真奥:竹谷氏 写真手前:山内氏)
――2人が出会ったきっかけについてお聞かせください。
山内:
TNK(東大起業サークル)の先輩の紹介で出会いました。
元から意図的にそのような場に顔を出すようにしていたところ、僕を含めた若手起業家の食事会に呼んでいただいたのですが、そこに竹谷さんもいらっしゃいました。
そもそもGunosyという企業が好きだったので、竹谷さんに会ったときは素直に「Gunosyの偉い人に会えて嬉しい」と思いましたね。
――その当時から、竹谷さんは若い起業家への投資を視野に入れていたのですか?
竹谷:
特段そういった意図があったわけではないです。
――エンジェル投資家は事業のかなり最初の段階で投資をスタートさせますよね。事業として成り立っていない段階で、どのように投資先を選ぶのですか?
竹谷:
初期の初期だと、選ぶといっても材料が足らず判断基準にするには難しいので結局は肝がすわっているか、やり切りそうな顔をしているか、で判断します。
山内:
過去の経験といってもインターンくらいしかないですからね。
――たしかにそうですね。しかし、その評価軸が不確かな中で投資先として山内さんを選んだ理由はありますか?
竹谷:
山内さんにお会いさせて頂いたとき、決して派手な領域ではないが、自分なりの勝ち筋、仮説を持っていました。大学を休学して取り組むなど、強い覚悟を感じた記憶があります。
株主として長くお付き合いさせていただくことを考えると、マインドセットというか人柄に共感できるかどうかが大切なのかなぁと考えております。
――投資が決まる前、事業自体はどの段階まで進んでいたのですか?
山内:
開発はまだでしたが、何をやるか全く決まっていない状態で投資家の方に会っても仕方ないと思っていたので、ある程度プロダクトは決定していました。
竹谷:
モノはありませんでしたが、構想はありましたね。これまでも新規事業計画には触れる機会がありましたが、見てきた中でもよく考えられているなぁという印象を持ちました。
考え方やスタイルが似た2人の課題への向き合い方
――竹谷さんからアドバイスをいただく場面も多いのではないでしょうか?
山内:
普段はKPI(Key Performance Indicator: 経営において「キー(鍵)」となる指標の事。目標達成に向けたプロセスが適切に実行されているかどうかを計測する役割)と会社全体の課題についてアドバイスをもらっています。
初期は成長速度を資本投下で早めるというような概念を全然持っていなかったのですが、竹谷さんとの対話の中でそういった感覚であったり、それを実現するために必要なプロセスなどを学びました。
どこかで楽観視してしまっていた部分を、冷静に評価してもらったり、逆に悲観的になっている時に違った角度からの視点で一緒に可能性を探ってもらうなど、壁打ち的なコミュニケーションが多いですね。
竹谷:
特に意識していないので良く分からないのですが、なんであれ上手に使ってもらっているのであれば幸いです。
山内:
学生起業家のように経験がない起業家だと、不必要に慎重になってしまったり、変に強気になってしまったりすることがあるので、事業にこれまで携わってきた方からの冷静な意見はありがたいです。
竹谷:
自分も色々な事業化の方に助けて頂いておりますので、自身の経験が少しでも誰かの役に立つのであれば嬉しいです。とはいっても、自分自身がまだまだなのですが。
山内さんとは今後一緒に事業を進めていく中で、最終的に大きいものを形にしていきたいと考えています。
――そのような考え方も含めて、お二人のスタイルや考え方が合っていたのかもしれませんね。
竹谷:
お互い基本的に冷静というかテンションが低めで、よく言うと論理を大切にするタイプという点では似ているのかも知れませんね。また、結果に対して愚直であるという気もします。
山内:
起業家も投資家も熱量をかけていくタイプと、僕や竹谷さんみたいな課題を論理的に思考するタイプの2パターンの人がいますよね。
竹谷:
あまり似たような人ばかりを集めると偏りが生まれ多様性が失われてしまうので、山内さんには、バランスよく色々な人と付き合ってほしいですが。
正しい打ち手を選び続けた先にあるもの
(山内氏の後ろには竹谷氏から送られたアザラシが積まれている)
――起業した当初と今の山内さんを見ていて変化を感じることはありますか?
竹谷:
事業がある程度形になった結果、資金調達を行い、良い意味で余裕が出てきて他の事も考えられるようになったと感じます。
以前に比べて思考の幅が格段に広がり、若いってすごいなぁと思いました。
山内:
嬉しいですね。
1人で進めていたら、ミスをしてから気付いて修正してと時間がかかっていたであろう所を、他の人から色々教えてもらえたおかげで効率よく進めることが出来ました。
また、自分に不足していた視点を得ることができて、事業の解像度がより鮮明になってきていると感じます。
竹谷:
自分が山内さんと同じ年だった時のことを思い出して比較すると恥ずかしくなりますね。
――資金調達をし、事業は上り調子ですね。今後についてはどのようにお考えですか?
山内:
今ローンチしている中古車のカテゴリは、この市場で1位が取れるようにリソースを投下をしていきます。
その後、カテゴリを自動車の中で横展開していって、インターネットで自動車といったらSUNROOF、という想起をとっていきたいと考えています。
そこまでを最低2年で確実にクリアしていきます。
そして、それを自働車の比較・購入・意思決定といった分野をテクノロジーで解決していくような新しい挑戦の踏み台にしていけたらなと思います。
――頼もしいですね。では、山内さんが事業を運営するうえで重視していることありますか?
山内:
その状況下において「一番正しいことをする、正しい打ち手を選び続ける」ということにとてもこだわっています。
――まさに、会社の理念通りですね。そこには竹谷さんのメンタリングも活きていますか?
山内:
そうですね。
過去に事業経験のない起業家だと施策の幅がどうしても狭くなってしまいます。
自身の思考の切り口の範囲外のアドバイスを頂いたりすることができるので、そこに対する事業経験がある方の話は有用ですね。
竹谷:
メンタリングはいきていますか?って中々の誘導尋問ですね。(笑)
そうですね、と言っていただき光栄です。
目の前のことは自分よりも山内さんの方が当然深い思想をもっているので、逆にマクロの視点で何かを見落としていたり、機会損失してそうなことはないかなぁといったような角度から考えるようにしています。
興奮と同時に安心を与えてくれる投資家の存在
――山内さんから見て、投資家である竹谷さんはどの様な存在ですか?
山内:
起業家にとって投資家はすごく重要な存在です。
『宇宙兄弟』という漫画が好きなのですが、その中に「良いリーダーは興奮と安心を同時にくれる」と書いてあるんですね。僕は、そういう投資家がいいのではないかと思っています。
竹谷さんは「これをやれば、ここまでいけるでしょ」と思わせてくれるのでモチベーションが上がります。
なので、「これはいけますね、そのためには今何をした方が良いですよ」という事を言ってくる投資家と出会えることが一番いいですね。
会社としては、ある程度大きくなるところは既に見えているので、竹谷さんに投資していただいた分を100倍にして返して、そのお金をもう一回投資してもらい続けたいですね。
竹谷:
是非、そうなると良いなと。(笑)
――では、竹谷さんからこれからの山内さんに期待することはありますか?
竹谷:
この会社が上手くいって、山内さんにとって大きな自信になったら良いなぁ。
投資家というと、上下関係ができてしまうような感じがするので、少し違和感があるのですが、覚悟を決めたやる気ある若い人と一緒に仕事をすることが好きなので、これからも一緒に大きな物を追求していけたらなと思います。