「他人のせいにする社会人」にならないために大切なことは?
プロフィール
井上創太(いのうえ・そうた)
一般社団法人グローバル教育研究所 役員。大学在学時に世界トップクラスのプレゼントレーナーから一年間プレゼンテーションの指導法を学ぶ。そこで学んだことを活かし、多くの学生や社会人にプレゼンテーションの指導を実施。数々のビジネスコンテスト優勝者を育てた。現在、“第3の教室” 3rdClassを運営する株式会社BYDの代表取締役をつとめる。アクティブラーニング形式で行われる実践中心のワークショップは学生だけでなく、経営者、教育関係者からも高い評価を得ている。
学生が身につけるべき力は「主体性」「思考力」「リーダーシップ」
ーー3rdClassには色々な教室がありますが、その中でも今、学生が身につけておくべきスキルとはどのようなものなのでしょうか。
そうですね、そもそも、“身につけておくべきスキル”って何でしょうね。
僕は絶対に身につけなければいけないスキルはないと思いますが、身につけておいた方が良いスキルはあるなと思います。
経済産業省が社会人基礎力というものを挙げているのを知っていますか。
ーー1度、本で読んだことはあります。
「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」を3つの能力としていて、それが12個の能力に分かれているものを総称して、社会人基礎力と言います。

学生が身につけておくべき力って、要はその3つなんですよ。これをすごく簡単に言うと、「主体性」と「思考力」と「リーダーシップ」に分かれていると思うのですが、そういった力は結構重要だと思っています。
まずは表現力。言葉の選択もそうですし、身振り・手振りといったところもコミュニケーション能力だと思います。
二つ目はリーダーシップです。これは、社会人基礎力の中でもチームで働く力、集団のなかでどのように話すか、振る舞うかというところですね。
三つ目が思考力、考える力です。例えば「批判的思考」critical thinkingや、「論理的思考能力」logical thinkingが挙げられます。このような物事を深く考える力が大切かなと思いますね。
これらを習得するためには、前に踏み出す実現力や実行力は前提として必要だと思います。
他人のせいにする社会人を「かっこ悪い」と思った
ーーなるほど。ありがとうございます。ちなみに井上さん自身がそのようなものを社会に広めていきたいと思える原体験はあったのですか。
原体験で言うと、社会人になってからプレゼンテーションなどが苦手だと、仕事で成果を出せないということに陥るんですよ。大学生まではプレゼンの機会はそんなにないじゃないですか。
ーーそうですね。
別に学校で棒読みのプレゼンをしたって、こなせば単位をもらえてしまう。
だけど、例えばですけど、社会に出て5社の競合で2社しか採択されないってなった時に原稿をまる読みしたら、確実に負けます。
学生時代は言われたことをただやればよかったし、与えられた課題、正解のある問しか答えなくてよかった。そのような教育を受けてきた子たちに、「これについて自分なりに考えて行動して」と言っても、訓練をしていないので出来ないんですよね。
それで仕事という現場において失敗してしまって、鬱になってしまう子もいます。

でも、自分が傷つくだけならまだいいんですよ。
人によっては全部周りのせいにしてしまう人もいるんです。それを自分の責任として捉えられないのが、僕は社会人としてかっこ悪いなと思います。そのような社会人を見てきたというのが、僕の原体験ですね。
僕自身、1年生の時から社会人を見てましたし、はたまた同じ大学生も見ていましたからね。大学、サークル、バイト…なにも考えずに生きている人ばかりで「彼らはこれでいいのかな」ってすごく思ったんです。
マイクロソフト3年連続MVPの講師が教えるプレゼン方法って?
ーーでは、今お話しいただいた多くのスキルを身に着けるために、井上さんが運営している3rdClassを選ぶメリットは何でしょうか。
そうですね。選ぶメリットはですね、山ほどあるんですけど(笑)
三点に集約しましょうか。
まず一つ目は、講師の質が圧倒的に違います。うちほど一流の講師を集めているところはないのではないでしょうか。
例えばパワーポイントで資料の作成をするための講座では、マイクロソフトで3年連続パワーポイントのMVPをとった方に講師をお願いしています。マイクロソフトが3年連続MVPに認定している方ですよ。その人超える人ってなかなかいなくないですか?
ーーそうですね。
他にもニューヨーク大学でMBAコースの講師をしている方や、アップル、三井、三菱の役員ランクの方に英語のプレゼンテーションやリーダーシップの講師をしていただいています。
このような最高水準の人から生で授業を受けられる環境は、恐らく他の大学生向けスクールにはないはずです。
二つ目は、うちにはメンター制度というものがあるんですね。これはサポート制度なのですが、スクールを卒業した子たちがメンターとなって5〜6人くらいに1人の割合でつくんですよ。
そのメンターたちが相談に乗ってくれたり、「このように勉強していくといいよ」というのをアドバイスしてくれたりするんですよ。
あとは1週間のスケジュールを組み立てるお手伝いもしてもらっているので、確実に力が身につく体制が整っています。
メンター制度という部分に対してはかなり力を入れて取り組んでいますね。

ーーなるほど。しっかりアウトプットをできる環境が出来上がっているのですね。
はい。また、そのような空気、環境を作ってくれるんですよ。一人でやってたらさぼってしまうところも、チーム全員でやるから身に付けるところまで持っていける。だからこそクラス全員と仲良くなれる。
コミュニケーションが取れるので、1人で受けるのではなくみんなで受けているという気持ちになれるところが圧倒的に強いと思います。
ーー優秀な仲間が出来るのも大きなメリットだということですね。
はい、そうですね。
でも僕らの仲の良さは、「馴れ合い」ではなく「高め合い」です。
悩んでいる事や自分のやりたい事など、大学の友達にはなかなか話せないことも、3rdClassの仲間には話せる。「それを話していいんだ」という空間がある。
一人一人が高め合って行けるところが、3rdClassとしての価値が最も高い部分かなと思ってます。
三点目を言うと、安いと思います。
無料で受けられるところは山ほどあるので、「そこと比べると安くないじゃん」と思いますよね。でも僕は、「無料は高い」と思うんですよ。
だって、本気出さないじゃないですか。
あとは、無料のところは企業の広告が入っていたりして、求めていたようなサービスがなかなか受けられない、ということも少なくありません。
その一方で、3rdClassは人材紹介料もとってないですし広告もとっていません。
なので、最低限の金は頂くんですけども、かなり慈善事業レベルでやっています。月1万円〜1.5万円で三か月間受けられるコース価格だと思います。
これを高いと思うなら、大学生は大学の授業を死ぬ気で受けるべきだと思います。
親に払ってもらってるから高くないと思うかもしれないですけど、大学の授業って相当投資しています。
僕は「来たい」という気持ちさえあれば、大学生がアルバイトで稼げる金額に設定しているつもりなので、やる気さえあれば誰でも来られる金額だと考えています。
“自販機で飲み物を買うように”挑戦してみればいい
ーーちなみに3rdClassさんに話を聞きたい、入会したいという学生さんにはどのような方が多いんですか?
色々な子がいますが、なんとなく今の生活に物足りなさを感じている子かな。やっぱり大学行って、サークル行って、アルバイトして、本当にこのままでいいのかなという子とか。
あとは留学したい、長期インターンをしたいと思っているけどその前に実力をつけたい、基礎力をつけてから一つ上のステップに進みたいという子も多いと思います。あとは大学外の友達が欲しいという子もいます。

僕はそのような理由でも全然いいと思います。3rdClassに入る理由は何でもいいんです。ちょっとでも自分が変わりたいと思っていて、なんでしょうね…自販機で飲み物を買うくらいの感覚で3rdClassに入ればいいと思うんです。
でも、自販機で飲み物を買っても、超高級料理店でフルコースを食べた気分で帰ってほしいですね。ノリで入って感動して帰ってくれたら、これ以上に嬉しいことはないなと思います。
「仲間」が出来ると人は変われる
ーーありがとうございます。ちなみに色々な授業を開かれていると思うのですが、選ばれる授業の基準や授業の組み方はどのような感じですか?
まずは僕が面白そうだなって思うかどうかなのですが、やっぱり「子供達のためになるかどうか」ですね。
子供たちが社会に出た時に「学んでおいてよかったな」と思うようなスキルで、それこそ3年後とか5年後に感謝しに来るようなものであるかどうかが結構大切かなと。
ーーなるほど。その中で、学生さんが変わったなと思うのはどんな時ですか?
やっぱり顔つきが変わるなと思います。
ちょっと自信なさそうな子が、自信満々な顔でプレゼンテーションできるようになったりだとか、最初は集団に溶け込むのが苦手だった子が、いつの間にか集団の中心になっていたりした時に、本当に人とコミュニケーションをとることって楽しいなとか、どのようなことか気づく場かなと思ってます。
そこにおける考える力は伸びてますし、素直に努力するということがかなり身に着く場所になるので、考え方や発言の仕方、発言が伝わる力がついてくると、次の色々な選択が変わってくるんですよね、3か月前はなかった選択肢が、今はあったりだとか。
そうすると「長期インターンやってみよう」だとか、「ビジネスコンテスト出てみよう」だとか、3か月前の生活様式では絶対に出てこなかった選択肢と出会えるんです。
ーーなるほど。本当に自分に自信がつくので新たな選択肢が考えられるようになるということですね。
はい。でもそれは、プレゼン力の向上というところもありますが、やっぱり「仲間が出来た」ということがその子にとっての大きい変化なのではないかと考えています。
3rdClassという場所が、“みんなの相談できる場所”でありたい
ーー教育分野で活躍している井上さんですが、教育のどのようなところに楽しさを感じますか?
やっぱり人が成長していく過程とビフォーアフターを見られるのって教育しかなくて。これは感動しますよね。「この子変わったな」というのを見て、僕とかメンターが感動して泣いてるんですよ。

もちろん学生のサポートのためというのもありますが、“誰かのために頑張って泣ける経験”を大学生に積ませたいのでメンター制度を採用しています。
例えばですが、子育てして子供が立派に育って、お母さんお父さんありがとうって言われたら泣いちゃうじゃないですか。
そういう瞬間に出会えるのが教育なんですよね。
ーー受講している学生さんやメンターの方々に対する愛がすごく伝わります。学生さんと井上さん自身が関わることは結構あるんですか?
ものすごく近いですよ。一緒にスポッチャ行くわ、バーベキュー行くわ、ディズニーランド行くわ、ブドウ狩りも行きますからね(笑)
ーー本当に近いですね(笑)
はい、終わった後によくご飯とか食べますし。
確かにこの会社がすごく大きくなったらこの近さは保てないと思うのですが、僕がよく言ってるのは「経営者である前に教育者でいたい」ということです。
これには賛否両論あると思います。でも僕自身が教育者じゃなくなったら、きっと3rdClassに今の価値はなくなってしまうと思っていて。
教育者として、「その子たちにとって最も良い教育は何か」を考えられなかったら価値が無いと思っています。どんなに儲けようが、どんなに世界中に広まろうが、そこがなかったらいけないと思っていて。
なので、例えば今まで受講してた子たちが、10年後にすごい悩みを抱えてちゃった時に3rdClassという場所が、相談できる場所でありたいんです。
例え10年後だとしても、僕がどんなに偉かったとしても。
教育ってそのような仕事だなと思っていて、24時間365日営業だと思っているんですよ。
ーー本当に、学生にとって「帰ってくる場所」のようなところを目指しているのですね。
はい、そのような場所でいたいと常に思っています。それにここが彼らにとっての母校であったらいいなという想いでやってますね。
まずは気軽に一歩踏み出してみればいい
ーーありがとうございます。最後の質問になるのですが、今何を頑張ったらいいかわからない、であったりキャリアに関して悩んでいる学生さんはすごく多いと思うのですが、彼らに向けてメッセージをお願いします。
そうですね。3rdClassに来よう。(笑)
まずそれは一つ。
毎回の授業を見学体験が出来るようになっているので、まずは一度見にきて欲しいですね。
素敵な記事を書いていただいてもウェブサイトをどんなに見ても、僕らの良さは来てみて気づくことの方が多いです。
来てくれる人は必ず大切にするので、ぜひ体験してみたうえで、これからのキャリアを考えるきっかけにしてくれたらいいなと思っています。
ーー素敵なお話し、ありがとうございました!