初めに
言語を学習する方法は様々ありますが、今回は海外留学をテーマに解説していきます。
国内で学習する場合と異なり、日常的に言語を使用しながら習得することができるだけでなく、その土地の文化や風習に触れることができ世界観が広がるという副次的な収穫もあります。
しかし、多くの場合、留学に行くためには、煩雑な手続きや多額の費用を必要とします。しかも、留学に行ったからといって必ずしも語学が堪能になるわけではありません。
そこで、語学習得を目的とした海外留学について見ていきましょう。
留学ってなに?
留学とは、自国以外の国に滞在し、学術や芸術を学ぶことを指します。特に、特定の言語を習得することを目的とした留学を語学留学といいます。
グローバル化が進展する中で、国際的に活躍する人材を輩出しようと日本政府も、海外留学を支援する取り組みを始めています。
外務省やNPOが、留学に関すセミナーを主催したり、留学生用の奨学金制度を用意したりしています。各大学でも、留学相談窓口が設置されるなど、留学を支援する動きが活発化しています。
そうした取り組みを受けて、実際に、日本でも海外留学をする人は増加しています。文部科学省の発表によると、2013年の日本人の海外留学者は、55,000人にも上ります。
留学先として人気なのは、アメリカ合衆国・中国・台湾の3カ国です。英語圏であり、文化や芸術の発信地でもあるアメリカ以外にも、中国や台湾など手軽に行くことができる地域が人気であることが分かります。
留学人気は、特に大学生の間で顕著です。2014年の大学生の留学者数は、前年よりも11,000人増加し、81,000人を超えています。
大学生の間で人気の留学先には、アメリカ合衆国・カナダ・オーストラリアがランクインします。大学生に人気の留学先は、すべて英語圏の国です。
つまり、大学生の海外留学の主目的は、語学習得であるということがうかがえると思います。
留学は、期間によって短期留学と長期留学に分けられます。
一般的に短期は、2週間から3ヶ月間、長期は3ヶ月から1年以上の留学を指します。
3ヶ月が区別の基準になっているのには理由があります。3か月以下の滞在ならば、学生ビザやワーキングホリデービザを取得する必要がなく、煩雑な手続きをする必要がなくなるためです。
どんな人が海外留学に向いているの?
語学習得には非常に有効で、大学生の間で人気の海外留学ですが、当然、誰もが行く必要があるわけではなく、また、誰もが留学をすれば簡単に語学力を身につけることができるわけではありません。
留学期間中で、語学力を大きく伸ばすだけではなく、多様な世界観に触れる中で自らの価値観や思考を深めて帰国する人もいれば、一方で、留学に行っても語学力も価値観もさほど変化しない人もいるのも事実です。
そこで、どんな人が留学に行く必要があり、留学期間中に大きく成長できるのか見ていきましょう。
まず、前提として、留学をする目的を明確にしましょう。
学生のなかには、「大学生になったし、色々な事に挑戦したいから」や「海外が好きだから」という理由だけで海外留学を決意してしまう人がいます。これでは、留学に行くこと自体が目的になってしまっています。
留学はあくまで手段です。「将来、商社で働き、海外のインフラ整備に関わりたいから、そのために英語を身につけたい!」や「将来、通訳として働くために語学力が必要!」といった明確な目標を持ったうえで、留学に臨む必要があります。
さらに、留学先で多くを吸収するためには、主体性が必要です。
日本の講義形式は、教師が一方的に講義を進めますが、海外では、教師が生徒とフラットな関係で、双方向の対話の中で授業が形成されます。
その中で、日本の講義と同じように受け身な姿勢だと、十分に授業内容を吸収することがでません。自ら主体的に授業に参加する必要があります。
さらに、積極的に現地の人と関わることで、授業外で言語を使用するか否かも非常に重要です。道を尋ねたり、買い物中の会話では、授業では学ぶことができない日常的に使用する表現に触れることができます。
最後に、重要だと思われがちな語学力ですが、実はそれほど必要ではありません。当然、基礎知識の有無によって、習得の速度は変わります。
しかし、言語は実際に使用しながら身につけるのが最も効率的です。むしろ、文法の知識が十分だと、文法的な間違いを恐れるあまり、発言できないということも実際にあります。
語学力よりも、上記に挙げた、目的意識や主体性を持ち、実際の会話の中で何度も間違えながら習得した知識のほうが定着も早く確実です。失敗を恐れずに積極的に発言することのほうが重要です。
留学という限られた時間を実りあるものにするのは自分次第です。留学に行き、授業に出ていれば語学力が伸びるわけではありません。
当然、授業と並行して自習を進めつつ、意識多岐に会話をする必要があります。異国の地では過去の自分を知る人も誰もいません。
今まで殻にこもりがちで消極的な性格の方も、留学期間をきっかけに殻を破り、オープンな性格になってみることをおススメします!
留学のメリット・デメリットは?
語学留学には様々なメリットやデメリットがあります。
最大のメリットは、実際に言語を使用する環境の中で学習できることです。
日本にいては他の言語を使用する機会は意識的に作らないとありませんが、留学では使わないと生活できません。そうした外部環境の中で半強制的に言語を使用することで定着が早まります。
また、現地の異文化や風習に触れ、世界観が広がるというメリットもあります。
一方で、デメリットもあります。最大のデメリットは、多額の費用がかかるということです。
詳しくは後述しますが、学生にとって費用は大きな問題で、金銭的な理由で留学を断念する方もいます。
しかし、期間や地域を選択することで、費用を抑えることもできます。他にも、場合によっては卒業が1年遅れてしまうというデメリットもあります。
留学にかかる費用は?
留学の費用は、大きく、期間・地域の2つの要素によって決まります。
先述の通り、留学は、期間によって短期留学と長期留学に分けられます。一般的に短期は、2週間から3ヶ月間、長期は3ヶ月から1年以上の留学を指します。
平均200万円の費用を要する長期留学と比べて、短期留学は平均50万円程度と比較的安価で行くことができるため、挑戦しやすいといえます。
また、アメリカやヨーロッパは、留学先として人気であるだけでなく、物価も高いため、留学に必要な費用も大きくなります。
一方で、アジアやオーストラリアは、比較的安価で行くことができるうえ、物価も安く生活費を抑えることができます。
留学をするうえで、費用は重要な要素です。自分が何のために留学するのかをベースに、その中で費用を最小化する方法を探すようにしましょう。
国内での学習と比べると?
語学を習得する方法として、海外留学以外にも、国内で、英会話教室に通ったり、参考書を使って学習するという選択肢もあります。
そうした方法と比べると、留学は費用も時間もかかります。しかし、語学の習得速度という観点でみると、海外留学には及びません。
参考書は知識の拡充には有効ですが、会話のスキルを身につけることはできません。英会話は、用意されたシチュエーションの中での会話のみですし、時間も非常に限られています。
繰り返しになりますが、なぜ自分が語学を身につけたいかによって語学習得の手段は変わります。テストの点数を上げたいなら参考書で十分ですし、簡単な会話を楽しみたいなら英会話で十分です。
しかし、将来、海外で働きたいといった思いがあるのであれば、何冊も参考書を買ったり、英会話に何年も通うよりは留学に挑戦するのがベストでしょう。
留学するには何をしたらいいの?
いざ、留学したいと思ってもすぐに留学に行けるわけではありません。申し込みから出発までに1年間程かかる場合もあります。
留学に行くための手続きは、大きく3ステップに分かれます。
①留学先・期間を絞るご自身の目的や予算に合わせて、留学先と期間を絞ります。
②留学紹介サービスを利用する複数の留学紹介サービスに、資料請求をします。費用や待遇などの条件面を考慮したうえで、留学先を決定しましょう。 多くの場合、大学にも留学相談窓口が設置されていますので、利用してもいいでしょう。しかし、大学設置の窓口だと、フォローが手厚い分費用がかなり高くなりますので、注意が必要です。
③申し込む決定した留学プランに応募します。この時点で、パスポート番号や料金が必要になる場合があるので、準備しておくとスムーズです。
以上、簡単に記載しましたが、留学準備は想像以上に大変です。 計画的に準備を進めるようにしましょう。
留学経験者の声
続いて、実際に留学を経験した学生の声を紹介します。
将来、「総合商社に勤め、世界各地で活躍するビジネスマンになりたい!」という思いで、1年間アメリカ留学を決意しました。当然、授業でも学ぶことが多いですが、友人との会話やスーパーでの買い物の際の会話などから、学ぶことがとても多かったです。
初めは、笑われるんじゃないかと恐れて発言できなかったんですが、失敗しながら徐々に慣れていきました。最終的に、スピーチコンテストで留学生一位を獲得することができました。留学で自分の英語に自信が持て、将来の夢を実現する第一歩になったと思います!
最後に
語学を習得するための海外留学について紹介してきましたが、いかがでしたか。語学を習得するための手段はいくつかありますが、中でも海外留学は、最も習得速度も早く、最終到達点も高い方法です。
費用・時間がかかる分、簡単に決断することはできません。留学していいのか不安になるかもしれませんが、本当に自分がしたいことは何なのかを常に軸において、悔いのない意思決定をするようにしましょう。