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【フリークアウト/ヘイ・佐藤 裕介氏登壇】広告業界の変遷と2018年最新トレンド~東大起業サークルTNK×EastVentures協賛イベント~

小野菜々子
2018/07/03

数多くの学生起業家を輩出することで一目置かれているサークルがあります。それが「TNK」。

「TNK」とは、東大に籍をおく起業サークルです。そこでは、大学の垣根を越えて学生が集まり、起業家として活躍するべく日々活動しています。

では、”起業家として活躍するための活動”とは一体何なのでしょう?今回は、その謎を解くべくTNKさんの活動の一つであるゲストを招いた勉強会にお邪魔させていただきました。

今回のイベントは、登壇者にヘイ株式会社の佐藤 裕介氏を迎え”収益構造の変遷から読み解く、広告業界の最新トレンド”というタイトルでEastVentures様との協賛で開催されました。

EastVenturesは、アーリーステージのベンチャーキャピタルで日本と東南アジアのスタートアップ企業を中心にシード投資を行っています。

投資先には、東証マザーズへの上場が決定したメルカリやBASE、ツイキャスやクラシルなど日本IT企業のトッププレーヤーが名を連ねています。

このようにTNKには、週に一度、各業界に精通している方から様々な話を聞く機会があることが多くの起業家を輩出する理由の一つであるでしょう。

今回は特別にこちらのイベントを取材させていただき、余すところなく全文書き起こししました!

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このイベントは今年で3回目なのですが、1回目と2回目は同じ資料でお話ししていたので今回は資料を2018年度版にアップデートしてきました。

そもそも広告とは何ぞやという紹介をしてから、現在の広告業界について説明します。

そして、現状の広告業界への理解を前提として、これからメディアや広告に関わる仕事をする人はどんな心づもりでマーケットに向き合えばいいのかについて、学生さん向けのイベントですので、その前提でお話します。

まず、自己紹介をします。

もともと グーグルで広告製品に関わり、2010年にアドテクノロジー・スタートアップであるフリークアウトを創業、今年(2018年)の1月末まで代表を務めました。

現在は、フリークアウトでは取締役となり、ヘイ株式会社の経営をしています。

また、2013年末に設立し代表を務めるM.T.Burnというアドテクノロジー企業がLINEに買収され、現在は子会社としてLINEの広告部門を担っています。

他にも、友人とTokyo Founders Fundというファンドを共同運営し、日本以外の技術系スタートアップ企業に 30 社以上投資を行っているほか、個人でも50数社くらいに投資していて、中には上場しているものもあるので、この場で起業する方がいれば僕にもお声がけをいただけたら嬉しいです。

起業するなら向き合わなくてはならない”広告ビジネス”

ネット領域で起業を志す人があえて広告のことを学ぶ理由とはなんでしょうか。

現時点で時価総額トップ10の企業の7割はインターネットやソフトウェア関連企業です。そして、その半分の企業が広告ビジネスを収益の大きな柱のひとつとしています。

では次に、未上場のユニコーン企業(評価額が10億ドル(約1,010 億円)以上で、非上場のベンチャー企業を指す)を例に挙げましょう。この中のトップ10%に入る企業をみても、そのうちの6割は広告に依存した収益モデルです。

いわゆる今どきのスタートアップ企業の多くも広告ビジネスに収益依存しているので、インターネット領域で戦っていくのであれば”広告”と向き合うタイミングが必ず来ます。

広告ビジネスに関しては、電通や博報堂などの大手広告代理店に就職する人だけが知っておけばいいというものでもないので、出来るだけ広告のコアの部分を煮詰めてお伝え出来ればと思っています。

広告の本質とは 起源は革命期のフランス

消費者側からみた広告は、企業による商品の認知や購買意欲を刺激させるという消費者に向けたメッセージや、それを届ける様という印象を持ちやすいんじゃないかなと思います。

しかし、広告において本来的に重要なことは「人類の知性が安価にばらまかれるような仕組みを作ったこと」です。

世界で一番最初の広告は、1836年の7月1日のLa Press(ラプレス)というフランスの新聞に掲載されたものです。

その時期フランスでは市民革命を経験した一般市民が、特権階級の暴政から自分自身を守るためには政治や経済などに対する知恵を持たなくてはならないということに気付きました。

しかし、当時の新聞購読料はとても高く一般人が手を出せるようなものではありませんでした。

そこで、新聞の値段を下げるために、広告の仕組みを導入し、広告費としてスポンサー企業からお金を集めることで十分な収益を産み出し、コンテンツ開発コストを吸収し、より多くの読者にコンテンツを届けるということを持続的に行うシステムが発明されました。

このおかげで一般市民にも政治経済をはじめとする情報が安価に行き届く様になりました。

広告ビジネスによる知恵の伝承方法の変化

例えば、ネットのレシピサービス。今は有料会員の月額課金売上がありますが、過去は広告収入だけで成り立っていました。

田舎のおばさんの持っている、その地域にだけ伝わっているレシピという知恵をみなさんが無料で参照できているということは、レシピサービスを作ってくれた人のおかげでもあり、同時にサービスを運営するための資金を媒体費という形で投資してきた広告主や広告というシステムのおかげといえます。

これまでは言葉で伝承するしかなかった人間の知恵や考え方が簡単に皆さんの手に入る様になったのは、持続的なメディアビジネスを行う基盤の上に成立しています。

みなさんが無料でコンテンツを手にいれることが出来るのは広告ビジネスがその裏側にあって、誰かの知恵を安価にみんなに配ることのできるインフラのおかげなのです。

広告におけるポジティブなサイクル

広告とは非常によくできていて、コンテンツの複利的な投資を可能にしたことがこの広告システムのすごいところです。

ここに面白いTV番組があるとします。その番組は面白いので、たくさんのオーディエンスを惹き付けます。そして、熱心に番組を見ている人がいるからこそ、その番組に広告を出したい広告主が大勢集まり沢山の広告費用がもたらされます。

そうなると、またその広告費で潤沢なコンテンツ開発予算を投下ができ、そのコンテンツがよりリッチで面白いものになります。

そして、さらに多くのオーディエンスを惹き付けて、より多くの広告費が集まり、さらに面白いコンテンツが作られるという、ポジティブなサイクルが回るようになります。

これが、人間の知恵を出来るだけ安価にばらまいていくという、人類や社会にとって重要な社会にとって重要な機能でした。

広告ビジネスの本質は 需要・供給・希少性

広告ビジネスの本質は、需要と供給とその希少性です。これは、あらゆるビジネスにおいて最も重要な考え方なのでマクロ経済学をならうと教科書の1ページ目に書いてありますね。

デマンドは広告キャンペーンを出したい広告主で、サプライというのはメディアの持つ広告枠です。この広告を出したい人と場所を売りたい人をマッチングさせるのが、広告ビジネスですね。

広告の需給バランスがどうなっているかというと、広告を出したい人が沢山いて需要が大きいにも関わらず供給がコントロールされていました。

キー局のCMの枠のほとんどは、大手広告代理店からしか手に入りません。供給側が交渉力を持っているマーケットで、自分たちがその限られた枠を独占していてそれを欲しがる人が沢山いるという利益率の非常に高いマーケットでした。

広告枠が無限に増え続けるインターネット

これまで、広告枠とは希少で有限でした。しかしインターネットの普及に伴い、広告枠に変化が起こりました。

デジタルの世界では広告の供給が無限に増え続けるのです。

インターネットメディアに対する参入障壁はほぼゼロなので、ここにいる誰でも5分・10分あればネットでコンテンツを発信することや、低コストで自分のスペースを持つことが可能です。

オーディエンスが作り手にスイッチするCGMの存在

ここで、CGM(Consumer Generated Media 一般ユーザーが参加することでコンテンツが出来ていくメディア)という存在に注目します。

テレビでは、少数の作り手であるテレビ局や制作会社が番組を作り、それをオーディエンスはただ見るだけでした。しかし、インターネットではオーディエンスが時に作り手になることがあるのです。

たとえば、まとめ記事などを作成/閲覧できる記事まとめサービスでは、自分でまとめページ作ることが出来るので、オーディエンスが自分でコンテンツを増やして知らぬ間に作り手になっていました。10分で記事を1ページ作った時点で、広告の供給が4~5枠増えたことになります。

そもそも参入が気軽であり、オーディエンスが作り手にスイッチする仕組みがあるので、コンテンツも広告枠も増え続けるという構図が生まれました。

テレビを見ていたら、CMだらけだったという事がないようにテレビにおける広告枠は基本的に増えません。また、新たなテレビ局が立ち上がったという話もあまり聞いたことがありません。

しかし、CGMという概念の中では、供給が無限に増え続けます。供給が無限のものは、価格が 0円に近づいていきます。

なので、インターネット広告の枠の1インプレッションあたりに広告主が払う単価は下落していきました。これまでは、希少性に値付けをして”場所”を売っていましたが、無限にあるものに値段はつきません。

そこで、広告枠の希少性に値段をつけるのではなく、広告の「成果」をお金に換えるという新しい仕組みが発明されました。

これまでは”場所”を買っていたので、たとえ広告がひたすら無視され続けようが、表示された段階でお金を払っていました。それを、広告が表示されクリックした瞬間や、クリック後の遷移先であらかじめ定義された行動をユーザーがとった時にのみ、料金が発生するという仕組みに切り替わったのです。

インターネットはユーザー行動を定量的にトラッキングすることが出来るので、この仕組みに非常に向いています。

テレビCMを見た人が実際にコンビニでその商品を買ったかどうかを特定することは難しいですが、インターネット広告の場合はユーザーの行動がログに残るので広告が購入に繋がりましたという成果情報が残ります。

「場所の希少性を売る」から「成果を売る」という方法を発明したことでネット広告は一気に伸びていきました。

成果や効果は分かりやすいのでお金になります。1円の広告費を払ったら10円の利益が生まれたとしたら、そこに投資が進みます。テレビCMはその効果を図りにくく、どれだけ売り上げに繋がったのか、目的の成果に繋がったのかということはわかりづらいのです。

しかしネット広告の場合、成果をきちんとトラッキングでき、成果に応じてお金を払うのでリスクが低く、予算を最適に配分する判断基準が出来るので、数字があればアホでも意思決定できます。

グーグルはこの15年の間に、世界で1番広告でお金を稼ぐ会社になりました。グーグル以外の広告ビジネスをしている会社の上位 2 社を足したよりもお金を稼いでいるように、一気に市場の風景が変わりました。また、それらの会社は50年以上の歴史のある会社で、そのような老舗企業をわずか10年余りで抜いたんですね。

インターネット広告界の最強プレーヤー

このインターネット広告の世界では、ユーザーの滞在時間が長いサービスほどお金を稼ぐ傾向にあります。グローバルで見たときにスマホの世界では、グーグルとFacebookのサービスだけで、みなさんがスマホを見ている時間全体の35%を占めています。

とんでもない滞在時間を叩き出しているのがこの2社であり、広告で稼いでるトップ2でもあります。タイムスペントが長いプラットフォームが広告の成果を吸収していくので、アメリカのモバイルにおけるインターネット広告のシェアは、グーグルとFacebookだけで40%以上もあります。

モバイル広告のグローバルシェアの7割がグーグルとFacebookです。つまり、力のあるプレーヤーが圧倒的に市場を寡占しているのが現在のデジタルマーケットということです。

広告主のお財布の7割をこの2社が持っているということは、残りの3割を小さいメディアが取り合っているということです。ということは、これからメディアでビジネスするというのはあまり賢い判断ではないですね。

大きなプレーヤーは、さらに大きくなる力が働くので、既に寡占されているマーケットには勝ち筋がないんですよ。

これからのビジネスのカギを握る新しい可処分時間

では、その中でどうやって勝ち進んでいくのか。

人々がスマホを触っている可処分時間の35%をグーグルとFacebookが独占していることが市場の寡占に繋がっていることからわかるように、ユーザーの可処分時間をどれだけ取りに行くかが重要です。

では可処分時間は既に埋まりきっているのかというとそういう訳ではなく、新しい可処分時間は定期的に創出されているのです。

リビングにおける可処分時間を獲得するには競争相手が多いです。テレビ、新聞、雑誌、ゲームにラジオ、家族の会話も可処分時間を狙っています。最近では、スマートスピーカーも私たちの可処分時間を狙っています。

そんな中、モバイルの登場で屋外の可処分時間が生まれました。これまで、外にいる時は暇だったと思います。今思えば、スマホがなかった時代は外にいる時に何をしていたんでしょう。

エレベーターや信号待ちなど、1分もない時間でも暇だと思っちゃうんですね。これまでは何もすることの無かったその時間が、コンテンツを消費したりメディアと触れあう新しい可処分時間になったんですよ。

そこに30秒、1分という小さい単位の新しい可処分時間が生まれました。そして、コンテンツはその可処分時間にあった形に変わりました。

1分しか暇はないのに、ドラマを見せようとするのは無理です。しかし、Twitterは短文や画像コンテンツが流れてくるので、その1分の暇を潰すことが出来ます。

パソコンは、検索をして自分から情報を取りにいくことに向いているメディアでしたが、スマホは小さい画面なので検索をするのが大変です。そこで、情報が勝手に向こうから流れてくるメディアが増えてきています。それと同じで小さい画面で文字を読むのは面倒だから、写真やビデオが流行りました。

すると、コンテンツの形に合わせて広告の形も変化します。この変化に適応できた会社が新しい可処分時間で大きなシェアをとるプレーヤーになっていきます。

Facebookはグーグルよりも先に新しい可処分時間に最適なコンテンツ = 「タイムライン」を作り、そのフォーマットに合った広告 = ネイティブ広告を作り出すことで可処分時間と、その換金装置の市場を占有していきました。

このように、次に新しい可処分時間がどこに出てくるのかを考えることが重要になってきます。次に、暇になるのがどの時間か、それは今は暇だと「感じていない」ところだと思います。

新しいものが出てくることで初めて暇だと感じるようになるので、どういうところで新しい可処分時間が生まれるのかを考えると、ビジネスが見えてくるのではないでしょうか。

次にイノベーションが起こる舞台とは?

モビリティに革命がおこる

そう考えたときに、モバイルは既に決着がついているのでやめたほうがいいですね。

フリークアウトでは、これからは”モビリティ””移動”においてイノベーションが起こると考えています。ご存知の通り、Uberなどのライドシェアのサービス、さらにはカーシェア自動運転が立ち上がっています。

2012 年から機械学習の世界に技術革新がおこり、画像認識技術などが圧倒的に進歩したことで、コンピューターが目を持つようになり、外界の状況を認識して判断するようになりました。

これまでのコンピュータは外の世界が分からないのでプログラムによって今の状況を教える必要ありましたが、今はコンピュータが自分で外の環境を認識できるようになったのでそれに合わせた自主的な意思決定が可能になります。

2035年の全世界の車の出荷台数に対して自動運転車が25%を占めると思います。おそらく先進国である日本ではその比率はもっと高くなるでしょう。

こうなると、一人当たり年間110時間もの暇ができます。この市場が2035年に顕在化するなら今から何をしようかと考え、まずはタクシーのタブレットでの決済を可能にし、動画を流すようにしてみました。

タクシーは、もともと自動運転みたいなものなのでその平均乗車時間18分でユーザーに良い体験を提供しながら、いかにお金に変えていくかということを考えています。

タブレットにカメラを内蔵することで乗客の情報を認識し、その人にあったコンテンツを提供しています。もし、日本交通のタクシーに乗車する機会があれば見て下さい。

タクシーの領域から入って、可処分時間をお金に換える練習をして、自動運転の時代が来る頃にその可処分時間をいかに豊かな時間にし、かつ広告主にとってもハッピーな効果を創出できるかということをここから5年くらいかけて検証するのがいいかなぁと考えています。

音の重要性が高まる現代社会

また、オーディオメディアが流行ってきていますね。

アメリカだとAnchor 、日本だとVoicy、中国だとCastbox などの人気が高まっているように最近では音の重要性が非常に高まってきています。なぜならみなさん忙しいからです。

音は何かしながら可処分時間を消費することを可能にします。洗い物をしながら聞けたり、歩きながら聞けたり、とそういったすでに「埋まっている時間」を可処分時間に変えていく、オーディオメディアのコンテンツに合った広告フォーマットを開発できれば大きなチャンスをつかむことが出来るのではないでしょうか。

ARは今この瞬間の視野に仮想のオブジェクトを配置することが出来る技術なので、この視野の中にも可処分時間に類するものを作り出せるのではないかと思います。

Snapchatでは、現実世界には存在しないオブジェクトをデジタル空間上に展開することでブランドエンゲージメントを高める広告フォーマットを発明しました。業績はそこそこですが、彼らのAR領域は非常に伸びています。

人間が新たに暇と感じる可処分時間はこのように都度創出されているので、そこに最適な形のコンテンツを産み出し、そのコンテンツに合った形の広告を見つけることが新しい事業機会を生むチャンスかなと思います。

消費の効率が上がった現在の次にくるフェーズとは?

「つくる」か「つくる人の身内になるか」

最近のインターネットの世界では、機械学習などの技術領域の発展においてコンテンツのパーソナライゼーションが進み、消費の効率が上がっていると感じます。

ツイッターやFacebookのタイムライン、YouTubeのコンテンツも自分にぴったりのコンテンツをひたすら推薦される仕組みが発展していますからね。

コンテンツやものごとを消費する効率が上がると次に何が起きるかというと、消費することやユーザーであることに、飽きてくるんじゃないかなと思っています。

そうすると、クリエーションをする側に回るか、その作り手の身内感が味わえる側に回りたいという点に重きが置かれるようになります。

クリエーターと言っても、こだわりのアーティストになるという大それたものではなくて、もっとカジュアルで軽量で簡単で楽しめるものを作る側に回るということです。事実、ジェネレーションZと言われる若い世代ではTikTockやMusicallyなどの CGM コンテンツが流行っています。

しかし、サービスが成熟しだすと鬼のようにクオリティの高いものが出始めるんですよね。そうすると、恥ずかしくて自分のしょぼいコンテンツは投稿しづらい、と感じ始めます。

そこに新しいサービスが登場すればそっちに新しいコミュニティが出来るのでそちらに移動してまたカジュアルに投稿出来るのですが、同じプラットフォームの中にいると作る人とそれを応援する相手に分断されていくんですね。

そうすることで、作り手を応援している側に身内やチームになりたいという願望が出てきます。これが、SHOWROOMの投げ銭やクラウドファンディングにもつながっているのかもしれないですね。

カルチャーセリングする小売店

heyでは、カルチャーセリングをして、そこに物販を組み合わせたような売り手の人たちに向けたサービスを作りたいと考えています。モノやサービスそのものに価値を感じて買うというより、その作り手の人が醸し出している雰囲気やストーリーを消費するようなイメージです。

その人が持っているスタイル・カルチャーがかっこいいから、その人が身に着けているもの、作ったものが欲しくなるというタイプの消費を支えるサービスを提供していきたいと考えています。

heyのサービスであるCoineyとSTORES.jpを利用しているユーザーさんは基本的に作り手サイドにいます。そして、既に我々のプラットフォームを利用して1,000億円近いサービスや物の売り買いが行われています。

ものの消費ではなく、消費を通じて身内になるということ

私たちのお客さんで、とある地方のコーヒースタンドさんが運営するオンラインストアがあります。店舗は一店舗しかなく月商300万円くらいですが、ECサイトでその数倍売上を上げてています。

このお店は、スタッフや内装、商品への追求やこだわりなどから醸し出されるカルチャーを売っているんです。

そこでは、買い物の効率は求められていません。値段ではなく自分が納得してものを選ぶことやそのカルチャーを身に纏い作り手の身内になった気持ちになる、ということこそが重要です。

みんなのネットリテラシーが上がるとネット広告のクリック率は減衰すると言われています。その中でこだわりやカルチャーを売っている人に対して、ファンがつき、消費活動が進んでいくということは、ある種の広告が機能不全になっている中で、ある意味では広告にとって変わるものになるのではないかと思います。

このコーヒースタンドさんも、ネットに強かったりプログラマーがいるようなお店ではないですが、そういう人たちが簡単にインターネットでお店を開けるとか、デジタルの決済を出来るようにするなど、作り手を支援するような仕組みを作っていれば、こういう消費自体がマクロで伸びていくにつれて僕らのビジネスも伸びていくと考えています。

エモい消費の台頭

効率を求める消費は、多くの商品を取り扱い、どこよりも安く、早く届くアマゾンなどに任せることが1番だと思います。

わたしたちは”エモい消費のマーケット”が伸びるという仮説をもって、そのマーケットに最適化した商取引プラットフォームとは何か、作り手の求めるものは何かということに注目して、その回答を示していきます。

本日はありがとうございました。

(拍手)

あとがき

今回は、TNKとEastVentures協賛のこちらのイベントを全文書き起こしさせていただきました。

TNKからは既に著名な起業家が輩出されており、スタートアップ界隈にはこれからさらに成長を遂げるであろうTNK出身の起業家が沢山います。

その背景には、このように知識をためる場を定期的に設けることで、起業家として活躍することを目指す学生へのサポートがあります。

そして、EastVenturesは各企業へのシード投資はもちろんのこと、HiveShibuyaをはじめとするコワーキングスペースを利用し多くの若手起業家への支援を行っています。

さらに、このような学生への機会提供をはじめとする活動が多くの成功に繋がっています。

JEEK NEWSではこのように起業を目指す若者にはもちろんのこと、全ての人々がより良いキャリアを選択・創出するためのヒントをこれからも提供していきます。

キャリア選択にヒントを!

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