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【若き“プロダクトマネージャー対談”】 「まだ存在しないもの」をつくりだす。 プロダクトの“核”となるPM2人のアタマの中

松尾さくら
2018/03/30

プロフィール

浅香 直紀 氏

1993年生まれ。中央大学法学部卒。2013年11月より株式会社Techouseに参画。新規アプリ・マーケティングチームの立ち上げなど複数の業務に従事。その後、2015年7月より株式会社メルカリにプロデューサーとして入社。メルカリJPのグロース・株式会社ソウゾウでメルカリ アッテの立ち上げを経て、メルカリ メゾンズのリードプロデューサーを担当。

松井 友里 氏

AppBrew 共同創業者でデザイン&コンテンツ担当。東京大学教養学部学際科学科を休学中。日本生まれのアメリカ育ち。Ashoka Japan、Wantedlyで長期インターンを経験した後、クラウドファンディングして海外のスタートアップに取材。本のアプリStandでRailsエンジニアとして育ててもらう。2016年にAppBrewを共同創業。

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皆さんは、“プロダクトマネージャー”ということばを聞いたことがあるでしょうか。

プロダクトマネージャーは、「企業において製品の開発から、宣伝、販売、流通などの広範囲にわたるマーケティング活動全般の権限と責任を持つ管理者を担当する職種のこと」だと言われていますが、明確な定義はまだ存在していないと言っても過言ではありません。

今回は、若くしてメルカリのサービス『メルカリ メゾンズ』のリードプロデューサーを務めた浅香氏と、55万DL数を突破し、App Storeで総合1位をとったこともあるコスメアプリ『LIPS』で指揮をとる松井氏に、サービスの「核」となるプロダクトマネージャーについてお話を伺ってきました。

目次

・対談テーマ1:お2人が考える『PM』とは?

・対談テーマ2:PM2人の共通点

・対談テーマ3:ユーザーに対しての向き合い方

・対談テーマ4:PMに向いている人物像

対談テーマ1:お2人が考える『PM』とは?

ーー今回は、お2人でざっくばらんにお話いただければと思います。プロダクトマネージャー(以下PM)という職種は、世間的にはまだ定義されていないと思うのですが、お二人が考えるPMとはどのようなものなのか教えてください。

松井:実は私自身、PMという肩書きを名乗っているわけではないんですよね。

最初はエンジニアとしてデザインや実装をしていたのですが、今はエンジニアが増えてプロダクトの開発をする人がいなくなったので、私がその役目を担っているという感じです。

浅香:弊社も基本的にプロデューサーという一職種で採用していて、それと別軸でマネージャーや役員がある感じなので、自らPMと名乗っているわけではないですね。

基本的に、“プロダクトを縦に見るプロデューサー”がPMになると思っていますが、PMは自称しているようなもので「これがPMだ」という定義は無いと思いますし、各々が考えているPM像も違うと思います。

実際に、僕も日々、PMとはどのような存在なのか考えています。

松井:確かにそうですね。

でも最近思うのは、PMの必要性です。

弊社ではもともとエンジニア3人でLIPSのプロトタイプを作ったので、個人的に「エンジニアがいればプロダクトは作れる」と考えていたんです。

でも、エンジニアは目の前の実装に追われてしまうので、先を見据えて仮説検証をしたりユーザーを向いて新しい機能を考える人がチームにいた方が良いと思っていますし、今はそれが自分の役目だと思っています。

浅香:そうですね。

あと、PMを表す言葉として「ミニCEO」とよく言われますよね。

スタートアップ企業だと特に、CEOがPMをする事もあるので「ミニCEO」と言えるのではないでしょうか。

でも、それこそメルカリもそうですが、会社のフェーズや組織体制によっては「近いところまではやるけれど、経営管理をするわけではない」ので、「CEO」という表現が合わない場合もあるかと思います。

そう考えた時に「プロダクトを通じて、顕在している課題も潜在的な課題も解決する人」という言葉がよりPMを的確に表しているのではないでしょうか。なので、PMは組織を大きくする上で必要な職種だと思っています。

テーマ2:PM2人の共通点

ーーありがとうございます。学生でも社会人でも“プロデューサー”になりたいという方は多いと思うのですが、お話を聞いているとお二人は「組織に必要だと思ったからPMになった」という感じがしますね。

浅香:そうですね。もともとPMになりたかったというよりは、チームにとって必要だったからPMになったという感じです。

松井:でも浅香さんはそれがフィットしましたよね。

浅香:そうなんですかね。

でも、確かにもともと物事の理屈や仕組みを抽象化して構造的に考えるのが好きでしたし、あと僕、あまり感情の起伏が無いんですよね(笑)

なので、“主観が弱くて客観が強い”という部分がフィットしているのかなと思います。

松井:なるほど。

私自身も、PMになりたかったという訳ではありません。

デザインしたり、コードを書いて実装したりと手を動かすことが好きですが、それ以外のこともやる必要が出てきたため、PM的な立ち回りをしているという感じです。

まだ手探りでやっているので自分にフィットしているかは分かりませんが、今の仕事はとても楽しいですし、ずっとサービスのことばかり考えてしまいますね。

ーーでは、お二人に共通しているのは“考える”ということでしょうか?

浅香:そうかもしれないですね。でももちろん、僕も手を動かすのは好きですよ(笑)

モックをつくったり、簡単に実装を手直ししたり、“お客さまのことを考えて手を動かす”のはとても好きですね。

なので「自分がこうなりたい」という想いはそんなになくて、自分がつくったものを通じてお客さまに価値を提供できたらと思いながら仕事しています。

松井:分かります。

自分の立ち位置にこだわりはないですし、プロダクトが成長することが一番嬉しいことですよね。

浅香:あとは、スタートアップ業界では割と「課題解決」が重要視されているように思っていて。

もちろんそれも大事なのですが、CtoCのサービスは特に、お客さま自身が課題に気づいていないケースが多いです。

なので、実際に“潜在的な課題”を解決するプロセスを見せて、「ニーズから課題を作る」ということを含めてやるのもPMの役割かなと思っています。

テーマ3:ユーザーに対しての向き合い方

ーーなるほど。では実際にお2人がプロダクトをつくる上で、ユーザーに対して気を配っていることはありますか?

浅香・松井:色々ありますね。

浅香:まずは、「つくる側の都合」をご利用いただいているお客さま側に押し付けないように意識しています。

最初の開発とかって、いわゆるMVP(= Minimum Viable Product。顧客価値があり、利益を生み出せる最小限のもの)などの最小限のものから作ったりしますが、それって正直、利用者にとっては関係ないじゃないですか。

なので、メルカリ メゾンズでいうと、もっとも重視している「出品にかかる手間をどれだけ簡単にできるか」ということを意識する一方で、お問い合わせで「なんでこういう条件で検索できないんですか?」などといった様々な意見にも耳を傾けなければいけないな、と。

課題解決の優先度的に難しい部分はあるのですが、お客さまのことを一番に考えたいなと思っています。

松井:とはいえ、順番的に厳しい時もあるじゃないですか。

そういう時はCS( = Customer Supportの略)に力を入れるんですか?

浅香:そうですね。

松井:なるほど。弊社も似たような部分がありますね。

サービスをつくる上で、新規ユーザーとヘビーユーザーでニーズが異なることがあるんです。

ヘビーユーザーの方は昔からやりとりをしているので気軽にお問い合わせをしてくれるのですが、その分、声が強くなってしまう。

ですが、数値としては「新規のユーザーにいかに残ってもらえるか」ということも大事な課題なので、そこを解決しつつ、どのようにヘビーユーザーの方の満足度をあげていくかという部分は似ているのかなと思います。

なので、先ほど浅香さんがおっしゃっていたように、ユーザーの声を聞いて改善しつつ、対応していくバランスも意識していますね。

テーマ4:PMに向いている人物像

ーーここまでお二人のお話を伺って、PMの方は“自分の成果よりも、まずはプロダクトの成長が第一”という意識が強いように思いました。

浅香:それはあるかもしれないですね。

PMはエンジニアの「この部分のアルゴリズムを書いた」とか、営業の「これだけアポを取ってきた」といったような分かりやすいアウトプットがあまりないんですよね。

個人的には自分が考えたプロダクトでも、みんなの力で実装されて、その結果としてお客さまからのフィードバックがいただけるだけだと思っています。

失敗があった時には自分が原因だと考えますが、成功した時はチームの成功です。

ーーなるほど。では、お二人が思う「PMに向いている人」は結局どのような人だと思いますか?

浅香:目指すところにもよると思うのですが、2つあると思っています。

一つ目は知らないことを聞いた時に調べたり、新しいものが出たらすぐに見に行ったりできる「好奇心がある人」です。

「今はまだ存在しないものをつくる」というPMとしての視点を考えると、好奇心は重要ですね。

二つ目は、「精神的に守備範囲が広い人」です。

嫌なものが少ないとか、なんでも楽しめるとかは割と重要かなと思います。

守備範囲という意味では、コーディングやデザインにも興味を持てたり、なんでも楽しめるということが重要だと思います。

松井:それは確かにありますね。

あとは、「成長に繋がるなら何をしても良い」と思える人や、新しいことに挑戦しようという空気感をみんなに広げていける勢いがある人が良いですね。

これは弊社の方向性もあるかもしれませんが、将来的にそのような立ち位置になってもらう人は、エンジニアやデザイナー上がりの人の方が向いているかなと思っています。

その中でも「成長に繋がるなら何をしても良い」と思える人や、新しいことに挑戦しようという空気感をみんなに広げていける勢いがある人が良いですね。

ーー最後に、お2人が「今後どうなっていきたい」ということがあれば教えてください。

浅香:僕は、基本的には同じようなことをやり続けたいですね。

同じようなロールをやった時に出る作業のクオリティはやればやるほど上がっていくと思います。

そういうったことをやり続けていく中で、多くの人に幸せや価値を届けられたらなと。

それは必ずしも1プロダクトでなくてもいいと思っているのですが、自分が作ったものを通じてより多くの人に価値を提供し続ける存在でありたいなと思っていますね。

それは直近の2〜3年でもそうですし、5年、10年たってもそうかなと思っています。

松井:自分は今後も会社の中のポジションに合わせてやることがどんどん変わっていくのかなと思っていて。

今はセールスやマーケの知識が足りないので、プロダクトを作る側に関わるので精一杯なのですが、ここ半年くらいで全体を見れるようにならないといけないなと思っています。

今後は、もしかしたら今のレイヤーでやっていることは別の人に任せる形になるかもしれません。でも、そこまでいけるといいかなと思います。

ーー素敵なお話、ありがとうございました!

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