【若手“起業家×VC対談”】 「事業だけでなく、生活でもサポートを」 関西出身同士が二人三脚で歩んできた道のり。
現在話題の語学レッスン予約アプリ『Flamingo』を運営している株式会社フラミンゴ。”ITの力で多文化共生社会に貢献する”という精神を元に、単に語学を学ぶためのツールではなく、会話を通して外国人と仲良くなれるサービスを提供し、株式会社フラミンゴ代表 金村容典 氏とベンチャーキャピタル 廣澤 太紀 氏が語ってくださいました。
プロフィール
金村 容典 氏
株式会社フラミンゴ代表取締役CEO、立命館大学大学院法学研究科に在学中。2013年~2014年にVC、2015年春には文科省EDGEプログラムの一環でシリコンバレーを訪問しチャットワーク株式会社でインターンを経験。2015年夏には、インターンとして株式会社ディー・エヌ・エーの新規事業である"Anyca"のマーケティングに従事したのち、株式会社フラミンゴを立ち上げた。多文化共生社会の実現に貢献するため、カフェに外国人を呼んで、外国語のレッスンを受ける事ができるアプリ「フラミンゴ」をリリース。
廣澤 太紀 氏
East Ventures Director、関西学院大学卒業。2015年に上京し、East VenturesとSkyland Ventures、2社のベンチャーキャピタルを兼務。スタートアップイベントの開催を年間70本ほど企画、運営し、新規の投資先発掘に従事。2016年、最初の担当投資先「Smooz」が、AppleのBest of 2016に選出。
“関西出身の大学生”だった二人の出会い
ーーお二人はどのように出会ったのですか?
廣澤:僕は、大学4年の時はすでに東京に住み込みでインターンをしていたのですが、大学に戻る用事があって、1週間関西に帰ったんですよね。
その時にイベントもしようということになり、「関西だったら金村くんいるな」と思って、誰かに金村くんを紹介してもらったのが最初だと思います。
金村:僕のことを誰が紹介するんだろう。全然初対面覚えてない。
ーーということは特にきっかけもなく、自然な流れで出会ったんですね。
金村:特にきっかけもなく出会ってしまいました(笑)
廣澤:でも、そのイベントをきっかけに、関西で3〜4ヶ月に1回はイベントをしてたよね。
そのときに、毎回金村くんはフラミンゴのメンバーを連れてきてくれていて。
なので、「関西といえばフラミンゴ」みたいな感じでよくイベントをしていましたね。
金村:その後太河さん(East Ventures代表パートナー・松山太河氏)に出資していただいて、東京に行くことになりました。
ーー関西の学生が東京に来たときにどうするのかという問題は結構あるような気がします。
金村:すごく大変です。
僕の場合は、それこそEast Venturesさんにお世話になったのでよかったですが。
ーーそういった部分もサポートしていただいたんですね。具体的にはどういった感じだったのですか?
金村:最初は毛利さん(East Ventures Director・毛利洵平氏)が担当だったのですが、毛利さんが物件を3つくらい提案してくれました。
僕は代々木の広くて綺麗なところがよかったのですが、毛利さんのアドバイスもあって、結局渋谷のレトロなところに住むことになり、そこから僕の東京生活が始まりました。
物件を借りる時など、生活をスタートさせる時にはお金もノウハウも必要なので、そのようなことに協力してもらえたのはすごく大きくて、感謝しています。
廣澤:東京出身だと、友達の家に泊めてもらえたりしますが、出身が関西なのでなかなか難しいですしね。
東京に来てすぐにぶつかった壁とは?
ーー実際に上京してからはいかがでしたか?
廣澤:上京して3か月間くらい金村くんが相当悩んでいたのを覚えてる。
金村:そう。動画をやり始めたらとても人気で、動画配信をした方が良いのではないかと考えていました。
当時は動画に振り切ろうとしてたので、動画にすごい人数を割いてましたね。
でも、最終的に大きくならないのでやめようということになりました。
あと、アプリをほぼ作っていなかったので、きちんとアプリを作ろうということになったのですが、CtoC(Consumer to Consumer = インターネットを通じ、契約や決済を行う電子商取引の一つ。一般消費者同士が物品などの売買を行うことを指す。)のマーケットプレイスはこんなにも大変だったんだと悩みました。
廣澤:あの時から金村くんは、外国人が軸にあるというのはずっとぶれていないよね。
ミートアップとかコミュニティー的な部分は必ずやらなければいけないと言っていたしね。
金村:うん。月に4回くらいはミートアップしてたね。
今は2回くらいだけど、毎月100人くらい参加してた。
ーーその地盤があるからユーザーを獲得できたんですね。
金村:そうですね。2016年の10月リリースだったので、「予約だけしてみよう」という人がいて、10月は結構ユーザーが増えました。
でも、僕が「未経験だけど半年頑張って作った」みたいなアプリだったので、あまりの酷さにバグが発生して、当初の予定よりも大幅にずれました。
外国人と話すことすら不安な人も多いのに、アプリが酷すぎたので11月に一気に減って、「これが死の谷か…」みたいな感じでしたね。
これを超えるためにどうにかお客さんを確保しないといけないけど、広告費は割けない。
だから、メディアを作った方が良いと思い、「流行ってるのは動画メディアだから」という安直な理由で動画を始めました。
結果ユーザーが増え始めたのは、1年前の2017年1月、2月頃でした。
諦めたころに兆しが見えてきて、ユーザーが2倍くらいになりましたね。
“立場が違っても”お互いの意見を言える関係
廣澤:その後はずっと資料作りをしてたよね。
金村:2017年はファイナンスばかりしていたといっても過言ではないよね。
2017年4月くらいにメルカリさんから投資を受けたのですが、そこから毎月倍くらい伸びて、次のファイナンスの時は忙しくて鈍化したけど、1.5倍くらい成長し続けました。
廣澤:年末にリリースした1.7億円の資金調達に関しては、2017年8月1日から取り組んでいました。メルカリさんからの調達直後で、お金はありましたが、7月頭くらいからずっと金村くんのところにいて、「次のファイナンスをやったほうが良いのではないか」という話はずっとしていましたね。
金村:起業家である僕からすると、資金調達がやっと終わったところだったので、「そろそろプロダクトに集中したいな」とは思っていたのですが、廣澤さんはきちんとロジックを立てて説明してくれたので、社内で議論をした上でやろう、と決めました。
ーーお話を伺っていると廣澤さんと金村さんは相性が良さそうですよね。
廣澤:そうなんですかね。8月頃は相当言い合いをしてましたが(笑)
日中はそれぞれ普段の業務をして、夜からオフィスに集まって作業してましたね。
ホワイトボードに色々書いて「今日はここやろうか」と話し合って、ひたすら資料のラフを書いたりしてました。
金村:廣澤くんは言う前に少しためて「言っても大丈夫かな」という顔をしている時が面白いんですよ。
色々な関係者の方に気を遣っていて、疲れているのだろうなと思いますが、頑張ってほしいですね。
廣澤:頑張ります(笑)
ビジネスにおいては「周囲の人」が1番大切
ーー最後に起業家である金村さんにお聞きしたいのですが、廣澤さんを含めたEast Venturesさんのどこが良かったですか?
金村:すごく丁寧にやられているので、信用があります。
East Venturesさんが入っているというだけで、たくさんの人が会ってくださるのは非常に大きかったと思います。
関西から上京して人脈が無い中で、イベントに呼んでいただいたり、多くの人に会えたのはすごく良かったと思います。
結局、人が一番だと思うので、そこが重要なポイントですね。
あとは、先ほどもお話しましたが、新しい生活を始めるときには分からないことだらけでとても不安です。そういったときに物件に関するアドバイスをくれたり、様々なサポートをしてくれたこともすごく感謝しています。
そう考えると、関西にいても東京に来て起業、みたいな人たちが増えてきたのって、90年代以降だと思うので、関西から来た人で成功した事例が出てきたらまた変わりそうですよね。
ーーお二人が、地域に関わらずすべての人が挑戦しやすい世界を作っていくことを楽しみにしています。
素敵なお話、ありがとうございました!