自由な働き方をするために、学生のうちからできることは? WILLFU STARTUP ACADEMY代表・黒石氏にインタビュー
突然ですが、みなさんは大学を卒業した後、どんな働き方をしたいと考えていますか?
誰もが一度は「好きなことを仕事にしたい」「会社の歯車で終わるのは嫌だ」「一気に稼いで現役引退後は自分のために時間を使いたい」と考えたことがあるのではないでしょうか。
そこで今回は、渋谷に拠点を置き、起業したい学生を全面的にサポートしているWILLFU STARTUP ACADEMYの代表取締役である黒石健太郎氏に「学生が“イマ”すべきこと」や「起業に踏み出す価値」についてのお話をお伺いしました。
プロフィール
株式会社 WILLFU(ウィルフ)代表取締役社長 黒石健太郎
東京大学法学部卒。株式会社リクルート入社後、採用・育成・社内活性コンサルティング等の営業、新規事業の戦略企画、立ち上げに従事。2013年6月株式会社ウィルフ(WILLFU)を設立、代表取締役社長に就任。サイバーエージェント様のアントレプレナーイノベーションキャンプ優勝。著書に、「渋谷で教える起業先生」(毎日新聞出版)がある。
「学生時代は何でも好きなことをしなさい」その真意とは?
――今、学生が身に着けておいた方がいいことは何だとお考えですか?
それぞれの目的によって変わるので、一般的に身につけておいたほうがいいこと、求められるもの、というのはないと思います。
ただ、将来の選択肢に「会社から独立して働くこと」や「自分の力で食べていくこと」を視野に入れている学生に対しては、「小さくてもいいから、在学中に事業立ち上げ経験を積んでみる」という経験蓄積を提案しています。
リスクの少ない在学中に起業経験を積むことで将来的な選択肢を増やすことが出来ます。
とはいえ、いきなり起業をするのは、リスクも心理的ハードルも高いと考える学生が多いのも、また一つの事実でしょう。
そこで、私は“起業体験”という言葉でまとめているのですが、小さい事業でもレベルが低い事業でもいいので、頭で考えるのではなく、実際に事業を立ち上げ、小さな成功体験を積むことを徹底的に推奨しています。
とにかく、事業の成功体験を積んでおくことが重要です。
――では、WILLFU STARTUP ACADEMYでは、心理的ハードルをさげて将来の選択肢を増やすことを推し進めているのでしょうか。
そうですね。もちろん何も知らない状態の大学生が、自力で起業してすぐに売り上げを出し、収益化することは難しいです。しかし、その熱意やアイディアを無駄にするのはもったいないですよね?
そこで、ウィルフでは基本的な経営スキルやマネジメントスキルの学習機会と、先輩起業家によるメンタリングを提供することで、みなさんのアイディア実現をサポートしています。
「あ、起業するってこういうことなんだ」と肌で感じてもらい、「正しい方法を理解して、サポートさえ受ければ自分でも収益化出来るんだ」ということを分かってもらえたら嬉しいです。
――なるほど、短い在籍期間で成功体験を積むことができる体制が整っているのですね。
そうですね。「起業のライザップ」のような構造になっていて、受講を開始すると、1ヶ月後には強制的に全員が事業立ち上げを開始します。
各クラスともに、受講開始後1ヶ月後には先輩起業家や投資家が事業フィードバックに来る日程が決まっています。それまでに週に一度の経営スキル学習の場を通じて、事業プランを考え、練り上げていきます。
その集大成を一ヶ月後に迎えて以降は、もう事業立ち上げ開始です。その結果が利益ランキングとしてセミナールーム内に公表されるため、全員が全力で事業にコミットして頑張っています。
同世代の仲間で、なおかつ同じクラスのメンバー全員が事業立ち上げをしているため、困ったことがあれば、同じ目線でいつでも相談ができる。そんなコミュニティの存在も、成功体験を積める要素の一つになっています。
一つの事業を立ち上げたら、それが成功してもそうでなくても、振り返りをして足りなかったところを補い、次の事業を立ち上げるということを3回繰り返します。
さらに、OBOGのコミュニティ(※)を利用して、彼らの起業体験に関してヒアリングすることが出来るので、卒業生の知見も踏まえてよりスピーディに成長することが出来ます。
――「成功体験」「コミュニティ」の2点がポイントだと感じたのですが、黒石さま御自身がその2点を大切だと思うようになった原体験があればお聞かせください。
今考えてみると、学生時代に起業体験を積んでいたな、と感じることはあります。
当時は事業の感覚ではありませんでしたが、学生団体でパーティーを開いて収益を生んだり、 リクルートの人事アルバイトでお金もらいつつ、就職支援になるような場をつくることをやったりしていました。他にも就活相談会もやってみたり。
先ほども言ったように当時は“起業”や“事業立ち上げ”という意識はありませんでしたが、それに近いような経験はしていましたね。「バイトより面白い」と思えることに常に取り組んでいたんです。
※
▼実際に起業したOB/OGの方々
株式会社Baycare 洞 汐音さん(早稲田大学 国際教養学部)
株式会社アンドゼン 堀越大樹さん(拓殖大学 外国語学部)
株式会社CotoLab. 山田佑真さん(学習院大学 文学部)
この他にも約900人の卒業生が多方面で活躍されています。
▼具体的な成功体験事例
・初回事業立ち上げで、年間換算2000万円規模の利益を生み出すことに成功
・事業を運営する中で何度も挫折をしたが、それを跳ね飛ばす努力の結果、2週間で30万円の利益を生み出すことに成功
・事業立ち上げをする中で“学生の考えるアイディア”と“現実”のギャップに気づき、思考深度に変化
大人の言う「仕事はつまらない」はウソ?ワクワクする働き方とは
――実際に起業を行動に移すのが難しいと考える学生が多い原因の一つに、「起業の魅力が知られていない」というところもあるのではないかと思うのですが、黒石さんの考える起業の面白さとは何なのでしょうか。
起業の面白さというよりは、学生にとっての「起業に踏み出す価値」というところでいうと以下のことがあげられます。
1つ目は、圧倒的な成長が得られることです。アルバイトをしていても、頑張ったところで時給は変わらないことの方が多いですよね。しかし事業の場合、数千万のお金がはいってくることもあり、必然的に自分の本気度も変わってきます。
また、自分で全責任を負うことが必要になっているので、そこの「責任感」と「当事者意識」が全然違います。目線が違うから、圧倒的に成長するのです。
2つ目は、自分のやりたいことが出来ることです。例えば、「就職したら会社内で新規事業に携わることができればいい」と考える学生もいるかもしれません。しかし会社内での新規事業は、その会社の方針に合わないものはできません。
自分で起業し、志に協力してくれる企業を巻き込むと自分のやりたい事業を立ち上げることが出来るのます。やりたいことを仕事にしている大人ってキラキラして見えますよね。
3つ目は、キャピタルゲイン(=保有している資産・株式を売却することで得られる利益)ですね。サラリーマンとして働いていると、200万~数千万のお金しかもらえません。
しかし起業した場合は、数億といったお金をもらえる可能性がありますし、最低限の生活は国からも担保されています。
なのでリスクが高いかというとそんなことはありません。平均年収でいうと、起業家もサラリーマンも実はあまり変わりません。最大値のふり幅が一気にあがるだけなのです。
4つ目で、これが一番大きいのではないかと思うのは、就職するときの選択肢が増えるということです。
普通の学生だと、企業に応募して内定していくだけですが、起業家は事業ごとバイアウトしていくことでキャピタルゲインを得ることが出来、さらに1年目から自分の事業を立ち上げ責任者として活躍できるのです。
23〜4歳だと、大手商社や銀行でも、同期が事務作業をしているでしょう。圧倒的にワクワク度が違いますよね。
出会った“人”や“コミュニティー”はあなたの財産になる
――ありがとうございます。そんな中で学生がWILLFU STARTUP ACADEMYを選ぶメリットとはどういったことになるのでしょうか?
繰り返しになりますが、 「短期間で成功体験がつめること」ですね。ちょっと立ち上げてみることだけであれば、すぐにできますが、「ちゃんと利益が出て成功体験を積む」というのは想像以上に難しい。
例えばメルカリで不要になったiphoneを打ってみるだけでも「売上」は付きますが、2台目以降を仕入れて売ろうとした瞬間に普通に取り組むと赤字になってしまう。
ではどうすれば、小売業で収益化できるモデルを作ることができるのか...など。
また、経営スキルの理解だけで言うと、本を読めば分かるはずですが、経営スキルの難しい点は、その思考プロセスを収益化できるレベルまで深く突き詰められるかどうか。そこが難しい。
我々は、これまで1000人以上の学生が受講してくる中で、どこでつまずきどんな気づきをいつ得れば成功体験を積みやすいのかの成長プロセスをパッケージ化できているため、短期間で成功体験を積める場を提供できることが、最大の価値だと思います。
また、今、このタイミングでどんな事業を立ち上げたら成功体験を積めるのかという情報はリアルタイムで変わり続けています。
ウィルフの受講生でも昨年の受講生が立ち上げた事業を、今年の受講生が真似しようとすると全然うまくいかなかったりします。
我々のプログラムは、毎月新しいクラスが開講することもあり、リアルタイムに事業検証が行われ続けています。だからこそ、最先端の経営情報が提供できる。それも強みです。
OBOGはもちろん上場した先輩起業家のサポートもあるため、クオリティ高い人がサポートしてくれ、質の高いアウトプットが可能です。
――人との出会いやコミュニティも財産になるのですね。
はい。OBOGに相談ができるのはもちろん、彼らの過去の論文集も提供しているので、先輩たちが起業したときのポイントもみることが出来て、短期間で勉強になります。
起業のチャンスはみな平等。その差は一歩をふみだせるかどうか
――学生に求められることも変わってきているのですね。最後に、学生に向けてメッセージをお願いします。
自分で事業を立ち上げると考えると、「僕/私には無理だ」と考える人が多いです。しかしWILLFUの学生も、バックグラウンドはみな違い、あらゆるレベルの大学の学生が集まってきています。
「だれでもできるのが起業」です。難しそうだと思われがちですが、きちんとステップを分解して、1番最初の一歩を踏む。最初の一歩さえ踏み出せれば、誰でも立ち上げられるようになります。
また、多くの学生が、起業するには自分のほとばしる思いや高い志、人生をかけて成し遂げたいという強い思いがないとダメ、と思ってしまいがちです。
しかし、それは勘違いだと声を大にして言いたいですね。先輩に言われたその言葉をあてにしていると一生踏み出すことが出来ませんから。
事業を進めていく中でお客様の課題を知り、解決したいと思うようになる。そのプロセスの中で色々考えられるようになるのです。
普通の学生生活の中で、その考え方は持てません。きっかけはなんでもいいので、やってみることで成長することが出来るでしょう。
▼あの人も元は学生起業家!今活躍している社長・創業者
株式会社リクルート創業者 江副浩正氏
ソフトバンクグループ株式会社 孫正義氏
有限会社オン・ザ・エッヂ(現・株式会社ライブドア) 堀江貴文氏
ぴあ株式会社 矢内廣氏
マイクロソフト創業者 ビル・ゲイツ氏
Facebook創業者 マーク・ザッカーバーグ氏
▼イマ世界が注目する学生時代に起業してた若手起業家
株式会社dely(動画サービス・クラシルの運営)堀江祐介氏
株式会社メルカリ(メルカリをはじめとしたアプリの運営)山田進太郎氏
ラクスル株式会社(印刷通販事業や物流サービス事業の展開)松本恭攝氏