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実体験が将来の軸を決め、大学の履修を変えた。 世界最大の学生団体アイセックのメンバーが語る、 海外インターンシップのリアルとは?

三田枝見
2017/11/23

プロフィール

齊藤平太郎(さいとう・へいたろう)(トップ写真中央右)

一橋大学法学部2年。2016年4月よりアイセック一橋大学委員会に所属、17年3月にガーナに渡航して海外インターンシッププログラム「EN」を企画・開発する。現在プロジェクトリーダーとして同プログラムを運営する。

若松南菜子(わかまつ・ななこ)(写真左端)

東京外国語大学国際社会学部3年。2015年度4月よりアイセック一橋大学委員会に所属し、2017年8月にガーナでの海外インターンシッププログラム「EN」に参加。

花本夏貴(はなもと・なつき)(写真右端)

明治大学政治経済学部経済学科2年。2016年度4月よりアイセック明治大学委員会に所属。2017年6月から海外インターンシッププログラム「EIP」に参加。8月から同プログラムを利用してカンボジアにて6週間のインターンシップに参加。

秋元智行(あきもと・ともゆき)(写真中央左)

京都大学教育学部4年。休学中。2014年度4月からアイセック京都大学委員会に所属し、数十名の京大生へ海外インターンシップを提供。2017年度4月より教育領域への実践プログラム「Education Innovator Programme」を運営。

事業紹介

海外インターンシッププログラム“EN”とは?

従来の貧困援助への問題意識から、「内発的で持続可能なコミュニティー開発」を目指すプログラム。本当に現地に必要なものとはなんなのか、自分と社会に向き合う6週間。

ホームページはこちら。

実践プログラム“EIP”とは?

教育課題に立ち向かう仲間とのつながり、彼らとの学び、実際に教育を切り口に社会を変えているロールモデルとの出会いの中で、海外インターンシップの参加者一人ひとりが「Education Innovator」になるためのプログラム。

ホームページはこちら。

「現地に行ってみないとわからないこと」は、自分が思っているよりもずっと多い

ーー齊藤さんと秋元さんはそれぞれ違う事業を運営されていますが、その事業を取り組むことにしたきっかけを教えてください。

齊藤:もともと高校時代に世界史を勉強していたときから貧困問題に関心があり、アフリカに行ってみたいと思っていました。そのこともあり、アイセックに入りました。

しかし、「アイセックでプログラムをつくったら貧困に関われるだろう」と思っていたのですが、東南アジアでの海外インターンが圧倒的に多い中で、あえてアフリカに行くことは難しいということに気づいたのです。

とはいえ自分が感じている課題を自分の目で見てみたいという気持ちは強く、プログラムを開発するための海外機会に応募し、ガーナに行きました。

しかし、実際に現地の村に行って圧倒されました。

彼らは本当に幸せそうだし、僕が考えていた「理想」は、押し付けじゃないのか…と。

何よりものが圧倒的に足りていませんでした。自分が持っている力はちっぽけで1人では何も変えれないということを痛感し、2〜3日考えさせられましたね。

しかし後になって、「自分がこれだけ悩むことができたのは現地に行ったからだ」ということにふと気がつきました。実際に現地に行かないとわからないことは本当に多いんです。

実際、現地の人々に寄り添う中で、「村をこう変えたい」とか「こういうところが問題なんだ」という意見に気づき、彼らの内発的な想いに向き合っていきたいと思うようになりました。

(現地の小学校。校舎が足りていない)

自分の無力さに落ち込んでも、「それでも何かやってみよう、一歩踏み出してみよう」という気持ちが、成長への一歩なのだと感じました。そこに海外インターンシップの価値を感じ、今、ENを運営しています。

ーー秋元さんがEIPを発足したきっかけは何だったのでしょうか。

秋元:僕はもともと教育者になりたいと思っていたんです。

日本で見ればいじめのような生徒間の人間関係の歪み、思いがすれ違ってしまうような生徒-先生間の人間関係の歪みが存在してしまっている教育環境に高校時代から問題意識を持っていました。

そんな背景から、教育現場をもっとフラットに、ストレスなく学べる環境にしたいと考えていたことがきっかけです。

「経済格差でなかなか教育が受けられない」「教育を受けられる環境だとしても人間関係のズレでその環境にいられない」といった問題がある時に、このような教育の問題を解決するためにはどうすればいいのかを考え実行していく人が増えれば、環境が改善されていくのではないかと考えました。

しかし、そういった人を増やすには、現状では教育問題の解決に挑戦する実践経験が圧倒的に足りないことに気がつきました。

周りの学生をみていても、「何となく教育に興味がある」「教育を変えたい」という想いを持っているだけで、何も行動に移せていない人は多いです。

それなら教育問題に立ち向かう実戦経験の提供を自分ができればと考えたのです。

それをアイセックのメンバーに発信していき、一緒にやってくれるメンバーを募ると人が集まってくれて。

その人たちと一緒に想いを交わして、「日本トップの実践機会を作っていこう」といって始めたのがEIP発足のきっかけです。

人のために奮闘するのは「自分のエゴ」?

ーー花本さんはEIPに、若松さんはENに実際に参加されたそうですが、お二人が経験した困難はどのようなものだったのでしょうか?

花本:僕は自分がやっていることが“エゴ”なのではないかと考えさせられることがたまにありました。

その例が二つあります。

一つ目が、今回のインターンシップで学校を回るなかで、現地の校長先生から「あなたの国の文化について、生徒たちに教えてくれ」と言われたんです。

(日本語教育の様子)

でも僕は、正直何を伝えれば良いのか分かりませんでした。

日本と比較しても圧倒的に教育水準が低い環境の中で、何をすべきなのかがわからなかったのです。

実際にひらがなと日本語の挨拶を教えたのですが、果たしてそれが子供たちのニーズに合っているのか、これを覚えたところで彼らにとって何の役に立つのか、と疑問を持ちながら授業をしていたという実感があり、結局自分のやりたいことをしているだけなのでは…と悩みました。

二つ目が、日本のルールを押し付けて良いのか、という葛藤です。子供たちが参加する運動会の運営をやる機会があったのですが、現地の子どもたちはルールを守らないことが多々ありました。

そのとき、僕はルールを守らなかったことに対してアプローチしようかと考えたのですが、ルールを教えるためには難しい部分がありました。

というのも、カンボジアにはそもそもルールを守る文化が無く、日常生活でもトゥクトゥクが逆走して交通事故が起こる、ということが平気で起こっていました。

このように、現地で「ルールを守る」文化がなかなか浸透していない中で、どのように最適解を探していくか。そのような“正解のない問い”に関して考え続けることは本当に難しかったですね。

(実際の運動会の様子)

若松:花本くんが言うように、「何が正解なのか分からない」というのには私も本当に悩みました。

現地の人たちは笑ってしまうくらい価値観が違うので、自分の意見や考え方に固執するのではなく、「より良いものを作るには自分の意見を通すべきなのか、現地の人の意見を通すべきなのか」というのは常に考えさせられましたね。

その中で、「自分本位で考えないこと」「広い視野を持ち、より良いところに収束させること」の大切さを強く感じました。

(ホームステイ先の子どもたちと)

動いてみれば、見えてくる。自分の軸を見つけ、新たなフィールドへ

自分の人生設計に自信を持つきっかけに

ーー事業を通じてご自身はどのように変わったと思われますか?

若松:もともと私がインターンに参加した理由に、「来年度自分が何をするかを決めるため」というのがありました。

今回、ENに参加し、考えが全く違う場所に行ったことで、“人生”や“生き方”という壮大なことを考えるようになり、「楽しく生きたい」という人生における軸ができました。

インターン参加前は、楽しさを第一に人生を設計してよいのだろうかという不安がありましたが、インターンに参加したことによって、自分のこの考えに自信が持てるようになりました。

現在は自分が楽しく過ごすために、来年度何をするか計画をたてているところです。

また、自分のなかで「私はリーダーをやったり、誰かと一緒に何かを生み出すことが苦手なタイプだ」という認識がありました。

しかし、インターンという、“自分が動かなければ何も始まらない状況”に身を置くことで、自分の苦手だと感じることをやって、新しいものを生み出したのはとても大きな経験でした。

自分の中の固定概念や思い込みを取っ払うことができた、いい機会でした。

「自分のため」のさらなる先へ

齊藤:一番大きく変わったのは、「誰のためにやっているか」ということです。

最初は「アフリカに行きたい」という思いから始まり、自分なりに新しいイノベーションを起こしたいという気持ちがありました。

しかし実際にアフリカに行ったことで視点が変わり、自分のためではなく、このプログラムに参加してくれる学生・プロジェクトに関わるメンバー・そして現地の人たち。みんなにとっていいプロジェクトにしたいと考えるようになりました。

今では、1人でも多くの人にアフリカの魅力を感じてほしい、この機会を提供したいと思っています。

そのために自分の力だけでできることはあまりにちっぽけです。なので、自分だけではなく、周りのメンバーや参加者の方も含めて最高のプロジェクトを作り上げたい、と思うようになりました。

「誰のためにやりたいか」を考えられるようになったのはこれ以上ない変化だと思います。

残りの学生生活の設計に変化

花本:変わった部分は行動面です。自分はどのように行動して、社会に価値を与えるのか。

自分から動いていかなければ何も始まらない環境におかれたことで、どのようにアクションを起こしていくべきなのか、そして自分がやりたいことは何なのかを常に考えるようになりました。

その影響か、将来何をしたいのかというのが変わりました。

今後は教育に関わりつつ、スポーツにこだわりを持って進んでいきたいという想いが強くなりました。なので実際に履修を変えてみたり、ゼミ選びについて真剣に考えたり、今後の学生生活にも大きく影響がありましたね。

ただ「行って」「よかったな」で終わらない

秋元:色々な領域や課題に挑戦している人をたくさん見るので、自分自身も刺激され続けた半年でした。

アイセックのプログラムは、6週間行って帰ってきて、なんとなくよかった、なんとなく自分の当たり前が変わりました、という事だけではなく、そこで身についた多様な価値観や火がついた自分のモチベーションや思いをこれから社会にどう還元していくのか、という思考にまで及びます。

海外インターンシップに参加した学生のキャリア形成に火をつけることが出来るプログラムを、どんどんアイセックでできるようになり、皆がイノベーターになっていくといいですね。

ーーみなさん大きな変化を感じているのですね。素敵なお話、ありがとうございました!

キャリア選択にヒントを!

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