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「就活成功のカギ」とは?就活のスペシャリスト「就活コーチ」代表廣瀬氏インタビュー

嶺岸大知
2017/11/02

「エントリーシートの書き方」や「面接の攻略法」のような情報が簡単に手に入るようになり、就活生はそうした小手先の就活テクニックの習得に奔走するようになりました。

しかし、テクニックだけでは難関企業の内定を獲得するのは困難です。運よく内定を獲得しても、就活はその後約40年間を過ごすかもしれない場所を決める重要な機会です。

真に自分に合う企業を探し、その企業に必要とされる人材を目指すことが就職活動のあるべき姿です。

そこで、今回は、就活塾「就活コーチ」の代表廣瀬泰幸氏に「就職活動の本質」と「就職活動を成功させるために必要なこと」を語っていただきました。

これから就職活動を控える学生はもちろん必読ですが、1・2年生にとっても自身の将来を考えるために行動を起こすきっかけとしていただきたいです。

プロフィール

就活コーチ代表 廣瀬泰幸(ヒロセ ヤスユキ)

慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、リクルートに入社。その後、一部上場企業の人事部責任者として採用と人材育成を行う。2003年、有限会社ヒロウェイ設立。主にリンクアンドモチベーション社の講師として、社員研修を実施。2010年、株式会社オールウェイズ設立。学生に就活コーチングを実施。企業の採用活動と人材育成、就活生の就職活動支援の三方の経験を持つ。

>>【就活生必読書】廣瀬氏著書「新卒採用基準」

「就職活動は学生が成長する場」

若者の早期離職が叫ばれている昨今、新卒時点での企業・学生間でのミスマッチが原因とされています。そこで、廣瀬氏(以下、廣瀬)に就職活動の現状とあるべき姿について語っていただきました。

Q. 就職活動はどうしても内定獲得がゴールになってしまいがちですが、学生にとって理想的な就職活動はどのようなものでしょうか?

廣瀬:まずは、自分が本当に志望する企業に入社できることですよね。

学生が志望する企業は知名度が高い企業に偏りますが、人気企業が必ずしもその学生に本当にあっているとは限りません。自分に合った企業を見つけ、そこに入社できれば理想ですね。

もう一つは、就活を通して自分の能力を向上できることです。

就活では、ある程度統一されたスケジュールのもとで学生は活動しますが、その取り組み次第で成長する人とそうでない人とは大きく差が開きます。

就活を機に、世界観を広げたり、能力を開発することができれば、理想だと思いますね。

Q. 就活で学生も成長するんですね。一方で、現在の就活では企業と学生とのミスマッチが課題とされています。何が原因でしょうか?

廣瀬:企業が採用したい人物はシンプルです。企業は「自社で活躍できる人」を採用したい。

ミスマッチは、企業が求める人材が持つべき、意欲・能力を、学生が備えていないこと、つまり、企業の理想と学生の実態が乖離していることが原因です。

企業は自社で求める人材を公表しているし、それに見合う学生を採用しようと努力しています。

まずは、学生は「自分はできない」と自覚することが重要。そして、できないことを補うためにトレーニングすること。

4年間しか通わない大学を決める受験は一年かけて必死に勉強するのに、就職活動となると多くの学生はほとんど準備しないんですね。

Q. 企業の採用する力は十分で、学生のレベルが追い付いていないと。企業が求める能力とは、具体的にどのような能力ですか?

廣瀬:大きく、スペックとタイプの二つに分類されます。スペックは能力。タイプは思考や価値観など性格的な要素で、企業の方向性や既存の社員とフィットするかどうかということです。

スペックは学歴だけではなく、平易に言うと「働く力」。経済産業省が、「3つの能力、12の構成要素」を社会人基礎力(※)として定めていますが、一般的に広く求められる能力はそれで十分です。

それら項目をどれだけ高い水準で備えているのかが重要です。その要求水準は企業により異なります。いわゆる難関企業は、各項目の要求水準が高いということ。

加えて、どの企業でも共通で求められる能力は、コミュニケーション能力。もう少し広義だと「表現力」。

仕事は一人ではできないから、表現力のない学生は、どの企業でも「活躍する能力がない」と評価されてしまいます。

表現力は面接において顕著に差がつく部分ですが、表現力に対する意識が欠落している学生は多いです。

就職活動とは、感覚的には「自分という商品を、企業というお客さんにどうやって売り込むか」ということです。

多くの学生は頭で考える力こそが、企業が求める能力だと考えていますが、それは誤解です。

スポーツで例えると、「こんな動きができたらいいな」ということを考えられるのが、考える力が高いということ。当然それだけでは不十分ですよね。

「実際にそのように動けるか」は全く別の能力で、それなりのトレーニングが必要です。理解するだけではなく、体が動かせるようにならなければいけないということです。

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※2006年、経済産業省が提唱。「社会人基礎力」とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されている。「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として重要な能力である。

(出展:経済産業省ホームページより

「就活塾で本質的な能力を身に着ける」

就活生にはあまり馴染みのない就活塾ですが、入塾者は毎年増加し、多くの学生が志望企業の内定を獲得しています。廣瀬氏に就活塾についてお話しいただきました。

Q. まずは、就活生にとって最も身近な大学のキャリアセンターとの違いを教えてください。

廣瀬氏:キャリアセンターは、面接の対策やエントリーシートの書き方など、HOW-TOを教える場所です。HOW-TOは就活で測られる能力の一部に過ぎません。

企業がより求めているのは、テクニックの下にある基礎的な部分です。

体育会系の学生が難関企業に入社するのは、就活テクニックは知らないが、学生生活を部活動にささげた分、「考え抜く力」「行動する力」「表現力」を十分に備えているからです。

Q. 対して、就活塾はどのような役割を担っているのでしょうか?

廣瀬:就活塾の総論を語るような立場にはないが、キャリアセンターがHOW-TO、いわゆる就活テクニックを教える場であるから、就活コーチはテクニックよりも本質的な能力、考え抜く力・前に踏み出す力・チームで働く力・表現力を向上させる場であり続けています。

Q. そうした本質的な能力は就活後も必要ですよね。数ある就活塾の中で、就活コーチの強みは何ですか?

廣瀬:社会的に認められている塾であるということです。

新卒採用基準』の執筆や、各メディアへのコラムの投稿を依頼される就活塾はほかにありません。正しい知識や経験を持った私自身が、講師として指導しているという点が強みです。

マンツーマンは形式に過ぎません。学生一人ひとりに寄り添ったサポートが必要だから、マンツーマンの形式をとっているだけです。

私が言うだけでは説得力がありませんが、手厚いサポートの積み重ねが、卒業生の体験談が100名以上集まる理由だと捉えています。

受講生が、価格以上のサービスを提供していることを証明してくれています。

就活コーチが、「総合商社内定」などを実績として大きく公表しないのは、その事実がサービスの質を担保するものではないからです。

もともと能力のある学生はサポートしなくても、難関企業の内定を獲得します。

塾に通い能力が伸びたかが重要であり、それを証明するのは、内定実績よりも、むしろ体験談だと考えています。

Q. そもそも、どのような思いがあって就活コーチを創業されたんですか?

廣瀬:当時、リーマンショックがあって、就職活動に苦戦する学生が多くいました。

そこで、企業の採用事情を知り、人材育成も経験のある自分だからこそ、そうした学生のサポートができると確信して、就活コーチを創業しました。

また、職業柄、就活のノウハウ本を読んだりしたが、しっかりとした内容が書かれている本がないと感じました。

私のほうが本質的な指導ができるはずだと思いました。

Q.多くの学生が不安になる就活において、ご自身の経験や知識が活かせるを確信したんですね。特に、「こんな学生に就活コーチに来てほしい」という思いはありますか?

廣瀬:就職活動に不安を持っている人であれば、どなたでも歓迎です。

特に、成長意欲のある人にはぜひ来てほしいですね。小手先のテクニックだけではなく、就職後も活きる能力を身に着けていいただけると思います。

Q. そんな学生に就活コーチでどのように成長してほしいですか?

廣瀬:就職活動をゴールにするのではなく、「社会で役立つ人」になってほしいという思いはあります。

働く目的は様々ですが、少なからず「社会で役立つ」ことを志して働くことができる人になってほしいですね。

Q. 就活生の支援を通じて成し遂げたいヴィジョンはありますか?

廣瀬:学生が就職活動を通じて成長できる就活を作りたいと思っています。

また、学生自身が、自分の可能性に気付いてほしいです。自分の可能性を自ら否定する人が多いと感じます。

若いというだけで可能性に満ちているのに、自ら挑戦の機会を奪ってしまっているのはもったいない。

10代、20代の一週間はとても貴重なのに、生産性の低い時間を過ごす学生が多いです。

そうした学生に、就職活動を機に自信を持ってもらい、その後の人生でチャレンジできるようになってほしいと思っています。

自分で能力を高められる学生は存分に高めてもらって、自力では能力を高められない人、どのように行動していいかわからない人に就活塾を活用してほしい。

まずは恋愛から!?就活成功のために必要なこと

「就活が不安」と思っていてもなかなか行動に移せていない学生に向けて、就活において行動することの重要性をお話しいただきました。

Q. 自己分析でつまずく学生は多いです。何かアドバイスはありますか?

廣瀬:自己分析というと、過去の活動を振り返ることにフォーカスしがちです。

本来、分析は指標があってしかるべき。しかし、就活生の自己分析には指標がありません。

分析とは、あるべき姿と現状との乖離を把握して、次の行動に移すために行うものです。

多くの学生が行っている自己分析は、「自己満足」に過ぎない。ただ振り返るだけでは意味がない。

自分がなるべき姿を明確にイメージしてから、どんな能力が不足しているのかを洗い出し、それを補うためにどのように行動するかを決めるのが、真の分析です。

過去を振り返ること自体に価値はありません。就職活動は、自分の未来を創る機会ですからね。

Q. 目指す像を明確に描くためには、業界・企業研究が必要だと思いますが、自分に合った仕事がわからない、企業研究・業界研究の方法がわからない、という学生が非常に多いです。「適職探し」のためのアドバイスをお願いします。

廣瀬:シンプルに「やってもいないことを分かるはずがない」、つまり、「わからない」と嘆く前に行動することが重要です。

色々な業界の先輩に話を聞くだけでも、自分にあっているか感覚的にわかったりするものです。

身近な先輩10人に、就活で受けた10社の話を聞くだけで、100社分の情報が集まる。それだけで十分に業界研究・企業研究ができるし、自分に足りない能力が見えてきたりする。

「営業って何?」と思ったら、営業を実際にしている人に話を聞いたり、インターンで営業を体験してみてもいいです。自ら積極的に行動してほしいです。

Q. 志望企業が決まっても全員が内定するわけではありません。「就活成功者」になるためにどんなことから始めればよいでしょうか?

廣瀬:まずは、自分の能力の水準を知ることからです。そのためには、自分よりも能力の高い人と会うしかありません。

学生は自己評価が高いです。自分よりできる人と会った経験が少ないからです。学生は、自分の能力が不足していることすら自覚していないのです。

判断基準は、属する集団をベースに形成されます。

ゼミやサークルの平均的な能力が自分の基準になるので、上位校生と中堅校生では、同程度の能力を持っていても自己採点に差があります。

上位校生は、自分の属する団体の平均値が高いから、自己採点は厳しくなる。「当たり前」の基準が大きく変わってしまうのです。

つまり、当たり前の基準が高い集団に身を置くことは重要です。インターンや就活塾では、比較的意識の高い集団に身を置くことができるから、よい環境だと思います。

Q. 自分ができないことを自覚するということですね。しかし、能力が高くても、面接で緊張して実力を発揮できないという学生も多いです。何かアドバイスはありますか?

廣瀬:双方向でやり取りするのが面接です。和やかな会話ができないといけません。笑いが出るような面接にできれば理想ですね。

緊張する構造の背景には、「準備したことを言おう」という意識にあります。相手への視線が欠落しています。

相手といい会話をする」という時間を多く過ごした人は、面接でも緊張することはありません。面接を通過する人は皆「面接が楽しかった」と言います。会話を楽しむことが重要です。

Q. 学生時代の過ごし方で面接の大勢は決しているということですか?

廣瀬:事前準備はもちろん重要です。しかし、「これを言おう」と決めるのが準備ではありません

準備すべきことは、自分を「色々な人と楽しく会話できる」状態にすることです。面接前夜に解決する問題ではありません。

学生は一対一で会話する時間が極端に少ないです。もっと言うと、彼氏彼女がいない人が多いですよね。

一番身近な事前準備は、彼氏彼女を作ることかな(笑)

人間同士の面倒な関係性を経験している学生とそうでない学生は、大きな差があります。

まじめに授業を受けている学生よりも、遊んで学生生活を過ごしていた学生のほうが就活で成功することがあるのは、濃密な人間関係を経験している学生は、対人能力が高く、就活では評価が高いし、実際に「社会で活躍する能力」が高いことが多いからです。

Q. 授業を受けるだけでなく、学生という自由な時間を人間関係を楽しむ時間にも充てるべきということですね。最後に、未来ある学生に向けて一言お願いします。

廣瀬:「自分の目で確かめて」ということに尽きます。

学生が知っている世界は極めて狭いです。考えているだけでは結論は出ない。とにかく行動しなさいと伝えたいです。

就活コーチがほかの塾よりも良いかどうかも、考えても、ネットで情報収集してもわかりません。自らの目で確認してもらうために、無料説明会を設けているのです。

一流企業の新入社員研修でも、私は「行動しろ」ということをメッセージとしています。つまり、一流企業に内定する人も十分に行動することができていないということです。

悩むよりも行動しろ。行動すれば自然と考えるようになります。

就活は自分を変える良い機会です。就活を機に、行動する癖をつけて自分の未来を切り拓いてほしいですね。

最後に

廣瀬氏が代表を務める「就活コーチ」では、無料説明会を実施しています。

「就職活動に不安があるけど、何をしていいかわからない」という方は、ぜひ行動して、「自分に何が足りないのか」自分の目で確かめてみてください。

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