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【注目ベンチャー/上場企業経営者が審査員!?】審査員特別対談&東大起業サークルTNKのビジネスコンテストに密着取材!

三田枝見
2017/07/27

7/2(日)、多くの起業家を輩出する東大起業サークル「TNK」のビジネスコンテストが、都内で行われました。

ビジネスコンテストは東大の学園祭である「五月祭」、そして「夏合宿」と並ぶTNKのイベントの1つ。学年・男女関係なくチームに分かれ、それぞれが考えたビジネスをプレゼンします。

優勝チームには例年、審査員のお三方から焼肉を奢ってもらえる権利がプレゼントされるとのこと。

本記事では、そんなアツい戦いを繰り広げたビジネスコンテストの概要を掲載。ビジネスと本気で向き合う大学生のアイディアと努力の結集を紹介いたします。

TNKの勉強会の様子はこちら

TNKのビジネスコンテストで審査員を務めたのは

・ダブルエル代表 保手濱彰人氏(TNK1期代表・写真右)

・ナイル代表 高橋飛翔氏(TNK2期代表・写真左)

・Gunosy代表 福島良典氏(TNK5期・写真中央)

のお三方。お三方とも、現在活躍されている起業家です。

(審査員のプロフィールは本稿最後に記載)

本稿では、ビジネスコンテストで入賞した上位3チームのビジネスプランを紹介致します。

【1位】スマート相続

従来、弁護士に依頼していた遺産相続の面倒な作業をスマートフォンでやってしまおうというサービス。

遺産相続には様々な書類が必要なため弁護士に代行を頼む人が多い。そこで弁護士が行う仕事をアプリで行えるようにした。

これにより約半年かかっていた作業を最短1週間で済ませることができるようになり、手数料も弁護士より安い価格で済ませられる。

優勝したチームAのみなさん

【2位】東京クローゼット

地方にはおしゃれな服屋が少なく、我慢を強いられる人たちもいる。東京クローゼットは、そんな地方の人たちのための試着サービスだ。

都心から離れた地方都市に試着専用の施設を設置。買いたいと思ったものはその場で注文し、後日実店舗から送られてくる仕組みになっている。

【3位】Kaigo!

利用者が介護サービス・事業所を簡単に探せるサービス。

介護事業所と利用者の間にケアマネージャーが入るため、利用者はケアマネージャーが提案した事業所に行くことが多く、希望の事業所を探しにくいという側面がある。

しかし、Kaigo!によって介護サービス・事業所と利用者を直接繋ぐことができるようになる。

今回は残念ながら入賞しなかったものの、他にも斬新かつ画期的なアイディアが多数あげられ、ハイレベルなコンテストとなりました。

審査員特別対談「学生時代にやっておくべきことは?」

ビジネスコンテストの最後に、特別にお時間を作っていただき、大学生の間から様々な活動を続けてきた審査員のお三方に「学生時代にやっておくべきこと」というテーマで対談していただきました。

保手濱:やっぱりこれは、完全に「恋愛」である、と。

(会場:笑)

でも本当にそうで、恋愛っていうのはビジネスよりももっと手軽に「顧客」フェーズにあたる目の前の女性、もしくは男性に、その人に合ったものを提供していくことですから。

一瞬冗談っぽくいったけど、本当にこれは成長につながるんで。

だいたい日本ってすごく恵まれた国で、格差も少ないし、教育レベルも高い。でも人間は本当に辛い経験をした時にしかちゃんと考えるようにならないんですよね。

そうすると、日本人が本当に辛いとか考えるような機会って、大学受験ですごい苦労するとかそういうことになると思うんですけど、その点で恋愛っていうのは1番わかりやすいです。

僕も人間的に一番成長したのが明らかに恋愛でしたね。大学生の時にこっぴどく振られて1週間ずっと泣き続けました。

当時中国語を履修していたんだけど、「ウォアイニー(I love you)」って言いながら涙がツーっと…。

(会場:笑)

でもそれで本当に考えるようになって成長できましたね。

当時の自慢話をすると、僕がTNKを作る前に出会った、大学で有名な可愛い女の子がいて。その子を必死に説得して付き合ったっていうのが、人間的にもビジネス的にも勉強になりました。

でも、人間的にまだ未熟だったから3ヶ月で振られて、「ウォアイニー(I love you)」って言いながらまた涙がツーっとこぼれましたね…。

(会場:笑)

なので、みなさんも大いに恋愛を謳歌していただけると成長に繋がるんじゃないかなと思います。

福島くんはどうですか?

福島:今の社会ってどうできていると思いますか?

賢い人が勝つんじゃなくて、リスクをとれる人に全てが集まるようになっているんですよ。

大学で勉強できることって、インターネットでも勉強できますよね。そうすると大学に通う意味って、人的なネットワークしかなくて。

それで「人脈を作りましょう」っていうと違う方向の話になってしまいますけど。

例えば、みなさんいろんなバックグラウンドがあります。それで、詳しい専門家のインデックスを作りたい、と。そういったときに「技術に関してはこの人」「この人は官僚になった」とか、そういうのを全部記録として持っておくと役に立つことがあるかもしれないですね。

あとは、大学は中退することも一つの可能性として考えられるかもしれません。時間は限られていますし、リスクを取れる人に全てが集まるので。

高橋:では僕からも一つお話しさせてもらうと、多分ここにいる人たちの中で真に起業家に向いている人は、10%いないと思います。それは過去のTNKの起業した人たちを見てもそうで、「1学年でだいたい1人か2人。そのうちの1人くらいがそこそこの成果を納める」みたいなケースが多いです。

それくらい「起業家」という仕事に求められるパーソナリティーとスキル、ポテンシャルってすごくレアリティが高いというか。

なので、今福島が言った「やっといたほうがいいこと」には“半分賛成・半分反対”です。

起業とか、そういうハイリスクな環境下で最大のリターンを求めたいんだったらリスクを取ることには全面的に賛成ですが、恐らく9割の人がそうじゃないでしょう。ある程度俺は逃げ道を残しておいてもいいんじゃないかと思う派ですね。

「ただ起業を絶対したいんです」「この道で絶対成功したいんです」っていうんであれば、中退などのリスクも全然賛成できますね。

そういうことを抜きにして、フラットに誰もがやっといたほうがいいことは「自分の好きなことを見つける」ことだと、明確に思っています。

多分ここに座っている人って、それなりに学歴がある人たちで、東大生とか早慶生とかが中心だと思います。でもみんなって、まだ世の中のことを何も知らないんですよね。

ここにいる人たちの人生が今までどんなものだったかというと、たいていの場合は、ひたすら受験勉強頑張ってきて、「成績をある程度取れます」「テストでいい点とりました、だからここに座っています」というのが経緯だと思います。

でも見渡すと、世の中には本当に面白い人がいっぱいいる。そういう人たちの共通点は、「何かしらの好きなことに打ち込んできた人」なんですよ。

みんながこれから打ち込む「何か」って、勉強の延長線上にあるものじゃなくても全然よくて。

「自分がこれを一生やっていてもいい」「一生これを続けられる」っていうレベルで打ち込めるものがあれば、どんな領域でも超一流に近づいていけるはずなんですよ。

そういう「何か」を見つけるための時間をいっぱいとったほうがいいと思いますね。

そしてその「何か」を見つけたら、そこに全力投球できるだけの覚悟を持ったほうがいいですね。それが学生時代に絶対やったほうがいいことだと思います。

あとは変に1つのコミュニティーにこだわりすぎず、どんどん仲良くなって友達を作って、10年後ぐらいに「あの時ああだったよね」って言い合えるような友達を作ったほうがいいかなと思います。

保手濱:さっき飛翔君が言ったように、本当にやりたいこととか好きなことを見つけるってすごく重要なことだと思う。

だけどあえて言いたいのは、見つからなくても「決める」ってことが大事だと僕は思っています。なので深い思い入れがないという場合は、自分で作ればいいと思います。

僕はもともとすごく目立ちたがり屋で、「世界一になりたい」とずっと思っていたし、それを公言し続けてきました。

これは今でも本気でそう思うし、むしろ確信に変わってきています。

そのようにして言い続けると、周りも「ああこの人はこうなんだ」って認識するし、自分自身「どうすればそれをできるようになるのか」を考えて努力を続けるので、夢に近づいていきます。

飛翔君も、今はわからないけど大学生だった頃は「会社を大きくして、培った資産で政党を作って日本の政治を変える」ということををちゃんと言っていたし、福島も当時「会社にデータを徹底的に集めて分析する日本一の会社を作る」というようなことをしっかりと言っていました。

なので、「決めて声に出す」っていうことはすごく大切なことだと思います。

常に言い続けることで、周りからもそのように見られるようになる。それが自分にとってもいいプレッシャーになる。そして最終的に自分のやりたいことになっていく、と。

基本的に、サッカー選手になりたい人って、サッカーをやっているからなりたいと思っているわけであって、「やっていることの延長にしかやりたいことはできない」というのがあります。

なので繰り返しになりますが、「決める」そして「言い続ける」というところは実践していただきたいなと思います。

高橋:あと追加すると、英語とプログラミングは絶対勉強しておいたほうがいい。

絶対的に、これは全員やったほうがいいとおもっていて。

日本はこれから20〜30年ぐらいで経済大国じゃなくなります。そうなった時に、日本国内でやるビジネスだけでは、世の中全体・人類全体に影響を及ぼすことが不可能になると思うんですよね。

みんなは20〜30年後、50歳ぐらいじゃないですか。その頃はビジネスの最前線にいなければならない年齢だと思っていて。

でもそうなった時に「内需相手のビジネスの中だけでしか働けません」というのはとても勿体無いと思います。

福島とかはプログラミング始めたの大学生の時だっけ?

福島:大学ですね。

高橋:大学から始めてここまでいけるんだから、みんなは今ちょうど始めるべき頃なのかなと思います。

英語にしてもプログラミングにしても一定量自分でやって、海外でビジネスを起こそうと思った時に「できます」みたいな、それぐらいの自信をつけられるといいと思います。

保手濱:実際学ぶのも、受験勉強で知識はあるから1日30分オンライン英会話とかやっていれば喋れます。ぜひ実践してほしいですね。

あとがき

TNKのビジネスコンテストの様子を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

TNKのみなさんはこの日のために何時間もアイディアを出し合い、ディスカッションをしてきたそうです。

なかには、意見がまとまったのは当日の明け方というチームもありました。

日々何気なく過ごしているだけでは、「大学生が本気で考えたビジネス」を実際の起業家にフィードバックしてもらう経験はできません。

しかしこのような取り組みが、TNKから何人もの起業家を生み出す所以なのではないでしょうか。

ビジネスコンテストの最後に、審査員でありTNKの創設者である保手濱氏は「TNKはサークルではなく、文化」だと言っていました。

あらゆる起業サークルが生まれては消えて行くなかでTNKが発展し続けて行くのは、彼らがTNKとしての“文化”を発信し、磨き続けているからではないでしょうか。

彼らの生み出す文化が、これからの社会やビジネスを支え、変えて行くかもしれません。

審査員プロフィール

保手濱彰人(ほてはま・あきひと)

1984年生まれ、東京都出身。東大起業サークルTNKの設立、経済産業省支援のビジネスコンテストで最優秀賞獲得などを経て在学中に起業。

その後複数の事業立ち上げやバイアウトなどを経て、2014年に株式会社ダブルエルを設立、代表取締役に就任。

高橋飛翔(たかはし・ひしょう)

1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイル株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。 2010年、SEOノウハウを強みにWebコンサルティング事業に参入、ナイルを業界を代表する存在へと成長させる。 2012年、スマートフォンアプリ発見サービス「Appliv」を立ち上げ。 現在は新規事業の指揮を執ると同時に、全社の経営戦略・事業戦略を担当する。

福島良典(ふくしま・よしのり)

1988年生まれ、愛知県出身。TNK5期。東京大学大学院工学系研究科修了。大学院在学中にグノシーを開発し、2012年11月に法人化。株式会社Gunosyの代表取締役 最高経営責任者(CEO)に就任する。2015年4月、東証マザーズに上場。2016年にはForbes Asiaより、アジアを代表する30歳未満「30アンダー30」に選出される。

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