【前編】CAMPFIRE家入氏、BASE鶴岡氏が語るインターネットとは? 〜TNK×East Ventures主催イベント第二弾〜
皆さんは「TNK」を知っていますか?
TNKは、起業家を続々輩出する東大起業家サークルです。出身者にはナイル株式会社の代表取締役である高橋氏、株式会社GunosyのCEO福島氏など名だたるメンバーが揃い、「ただのサークル」ではない、特出した存在感をだしています。しかし、大学のサークルから起業家が生まれるなんて、一体どんな活動をしているんだ…?と疑問に思う方も多いはずです。
そこで今回は、TNKさんに密着させていただき、気になるその活動内容に迫りました!
そんなTNKの活動のなかで、今回はEast Ventures様協賛イベント、第二弾を取材しました。イベントのタイトルは「インターネットの変遷とこれから」。
株式会社CAMPFIREの代表取締役社長である家入一真氏と、BASE株式会社の代表取締役CEOである鶴岡裕太氏が登壇されました。
「East Ventures」はアーリーステージのベンチャーキャピタルの会社で、日本・東南アジア・アメリカを中心にシード投資を行っています。海外を含め5つのオフィス拠点を有し、日本唯一のユニコーン(※企業としての評価額が10億ドル(約1,250億円)以上で、非上場のベンチャー企業)として活躍するメルカリやFreakout、ビズリーチ、gumi、グノシーなど日本のIT業界を牽引する企業への投資実績を誇ります。
ベンチャーキャピタルの第一線として利益をあげる一方で、このような学生向けの協賛イベントも行っています。
このように、TNKでは週に1度、特定の領域に精通した方々に勉強会にお越しいただいているそうです。各領域の大物から直接話を聞けるTNK、恐るべし。特別にイベントを取材させていただいたので、前回に引き続きその内容を全文掲載致します!
「インターネットの変遷とこれから」
.jpg-abS2FGfhiGFTVO8T)
家入:CAMPFIREというクラウドファンディングの会社をやっている家入と申します。よろしくお願いします。僕自身は、22歳のときに起業しまして、29歳のときにジャスダックに上場し、今はCAMPFIREという会社とスタートアップへの投資を40〜50社ぐらいやっています。
.jpg-tM8XIgFZxL5R5KTx)
鶴岡:僕は今日の会場にもなっています、BASEという会社をやっています。もともとはCAMPFIREで学生時代にインターンをしていました。
で、CAMPFIREにいて、家入さんと色々なプロダクトを作りながらBASEを作って、22歳で起業しました。
誕生日も家入さんと同じ12月28日なのですが、同じ歳で起業して、家入さんに負けないように頑張っているところです。
家入:ちょうど1回りくらい違いますね、年齢は。
鶴岡:なんすか、ちょうど一回りくらいって(笑)ちょうどなのか一回りなのかわかんないですね。まあ、11歳違うのでちょうど一回りではないんですけど。
(会場:笑)
司会:すごく仲のいいお二人ですが、出会ったきっかけはなんだったのですか?
家入:今鶴岡くんが言ったように、最初は彼がCAMPFIREのインターン生として入ってきました。あの時は「起業したい」とかあったんだっけ?
鶴岡:いや、全くなかったですね。僕、東京工科大学っていうところに通ってて、大学にはちゃんと通っていたんですけど周りに友達とかもいなくて。
今でもすごい覚えているんですけど、中央線に乗っているときに家入さんのTwitterで「エンジニア募集!」というのを見つけて。僕はエンジニアじゃなかったんですけど、「エンジニアです」って嘘ついて面接行ったんですよね。
(会場:笑)
鶴岡:僕の中では「家入さんに会えるんじゃないか」っていうのがあったんですけど、インターンをはじめて2ヶ月くらいは会わなかったですね。
家入:その時全然会社行ってなかったんだよね。
鶴岡:しかもたまに来るとちょっと「来ないでくれ」みたいな空気流れてましたもんね。
家入:そうだね。僕も会社に行くの怖かったもんね。
(会場:笑)
鶴岡:そんな中で、家入さんと一緒にCAMPFIREを作った方の1人に面接していただいて、「いいじゃん」みたいな感じで雇っていただきました。当時は暇だったんで週7くらいで会社に行っていましたね。
家入:未だに当時鶴ちゃんが何やってたか知らない。
鶴岡:最初は色々プログラミングとかやっていたんですけど、家入さんが、CAMPFIREにいながらMacBook Proにシールを貼る事業をやり出したことがあったんですよ。
それで、初めて家入さんからTwitterのDMがきて、「シールが売れたからシール作っといて」って言われて。「あ、シール作る仕事かあ…」って思って。しかも、当時はまだまだ名前も知られていない時ですけど、MERYを作ったあやたん(=中川綾太郎氏)という方がクライアントだったんですよね。
家入:そう。当時、僕のMacBookの表面を広告枠として売っていたんですよね。ネットで、㎝単位で。
鶴岡:「1枠いくら」とかで売っていたら、謎にあやたんさんが買ってくださっていて。あやたんの顔のシール作りましたね。
家入:当時は今みたいにPAY.JPとかもないのでpaypalでやっていて、売っていたけど貼ってない人もいっぱいいましたね。
鶴岡:そうですね。そういうのはよかったですよね。
そんな感じで、家入さんはCAMPFIREに来ていてもCAMPFIREを作っていなかったので煙たがられていましたよね。結果としては僕もそれに巻き込まれる形で(笑)
家入:シール作りを手伝ったせいで「家入派」にされたんだよね。
鶴岡:「家入派」は自由すぎたので、当時は「家入派」に分類されると他のCAMPFIREの方たちに後ろめたくなちゃうという(笑)
まあ、そんな感じですね。出会ったきっかけは。
「人のためになる」と思うサービスをがむしゃらに作り続けた
家入:鶴岡くんがシールを手伝いはじめたときに、僕がLivertyっていう活動を始めて、それも鶴岡くんに徐々に手伝ってもらうようになったよね。
Livertyは、大学生や主婦の方など、メインのやるべきことがあるけど「起業したい」とか「サービス作りたい」「あんなことしたい」「こんなことしたい」がいっぱいある方に向けたもので。
例えば、普段は子育てしながらだから難しいけど、何人か集まればできることってあるんじゃないの?という考えのもと、大学生とか色々な人を集めて、ものづくりをやって行く、というような任意団体です。
鶴岡:もともとは「ワルソウ」という団体があったんですけど、気づいたら家入さんが勝手にLivertyに変えていましたよね(笑)
家入:そうそう。Livertyは鶴岡くんにメインで手伝ってもらっていたけど、当時色々な人がいたよね。
鶴岡:そうですね。今BASEにいるメンバーもいっぱいいるし、起業したメンバーもいますし。
家入:結構、色々なサービスを作ったんですよ。

家入:これはね、とある会社のものをお手本にして書きました。
鶴岡:でも、昨今だとこういうのありそうですけど、これ2011年とか2012年ですよね?
家入:そう。だから結構早かったと思いますよ。今でこそ「2枚目の名刺」とか「副業OK」とかが広がって来ているけど、当時にしたら割と早かったんじゃないかなあとは思う。
まあ、そんな風にして、本当にたくさんの人が集まっていましたね。下にスクロールして行くと僕たちが作ったサービスがたくさん出て来るんですけど。

鶴岡:まずはBASEですね。2012年末に作りました。ロゴも今のものと少し違いますね。
家入:BASEも最初は会社とかじゃなく、Livertyのサービスとして出していました。
で、その下がOREPON。

鶴岡:これはリリースして速攻閉じましたね。
家入:速攻閉じたね。これは「自分の時間を切り売りしよう」っていうサービスですね。
鶴岡:ですね。1週間くらいで作りましたよね。
家入:今でいう「タイムチケット」とかみたいな感じだね。
鶴岡:先見性ありましたね。

鶴岡:あ、これは立ち上がりましたね。
家入:そうだね。これはこの写真の大川くんって子、よくフリー素材とかで見るかもしれないんですけど。彼は僕のアシスタントをやってくれていたんだけど、割と何もできないんだよね。
(会場:笑)
鶴岡:ずっと家入さんの横にいるだけでしたもんね。コードもかけなければデザインもできなかった。
家入:そう。ビジネス作れないからね。(笑)でも、そんな彼でも「顔」っていう広告枠は空いているなと思って、彼の顔を広告枠にして販売して、広告として電車に乗ってもらうとかしていましたね。
鶴岡:でも、これすごい売れたんですよね。「めざましテレビ」とかでましたもんね。
家入:そうだね。その後類似サービスも出はじめて。「人間の体を広告枠にする」っていうのを始めた画期的なサービスだと思いますね。これはいつか復活させたいなあ。
鶴岡:いいっすね。
家入:その下が「ぼくのおつかい」。

鶴岡:これも画期的でしたね。
家入:これは、メインの男の子が2人でやっていたんですけど、1人はBASEでプロダクトマネージャーをやっています。
今は結構偉くなっているけど当時は暇していたので、「暇だったら『おつかいをして生きて行く』っていう実験やってみようよ」という話から始まりました。
鶴岡:亀がオフィスにいたんですけど、亀が食ってる小松菜食ってましたからね、この2人。
(会場:笑)
家入:でもこれはすごく画期的で。ほら、生きている時っておつかいして来てほしいときがあるじゃないですか。タバコとか、ジュースとか。そういうときに、これを使って…ってこれUberじゃん。
鶴岡:UberEATS(=フード配達サービス)っすね。でもこれ、謎に2人がヘルメット被って体操服来てたんですよね。そこが絶対余計でしたよね。
(会場:笑)
家入:この数年後にリブセンスも近いサービス出してたよね。だからこれも早すぎたんだよ。
鶴岡:そうっすね。しかもリブセンスはちゃんと体操服着てなかったですもんね。
(会場:笑)

家入:これが一番大変だったよね。「study gift」。
クラウドファンディングの一種なんですけど、「学校に行きたくても行けない」という人のために、「じゃあみんなで集めればいいじゃん」っていうサービスです。
鶴岡:これは家入さんがCAMPFIREに迷惑をかけてしまった決定的な要素になりましたよね。
家入:そう。CAMPFIREやってんのに別にクラウドファンディングしちゃったからね。
鶴岡:創業者が裏で競合サービス作るって、無邪気にもほどがありますよね。
(会場:笑)
家入:まあでも思想はすごくよかったと思っていて。最終的には炎上しちゃったんだけど。
鶴岡:謝罪会見しましたもんね。
家入:謝罪会見したね。当時は、Yahoo!ニュースのトップページに毎日載っていたよね。
鶴岡:でも今はこれに似たサービスとかもありますよね。どこかに穴があったんですかね。
家入:これも早すぎたんだな。
…なんか、負け犬の遠吠えみたいになってるけど大丈夫かな。
(会場:笑)

家入:僕これで結構儲かったんですよ。いわばVALUに近い感じですね。バラバラなことをやっているように見えて、一応全部一貫しているんです。「僕が持っているMacBookのこの部分もったいないな」みたいな。
要は「個人の在庫をいかにお金に変えるか」っていうことです。
僕がこれをできれば、他の人も同じように生計立てられるようになるんじゃないかな、という仮説のもとでやっています。
「ぼくのおつかい」も同じですね。特にやりたいこともない人たちが、おつかいだけで生きて行けたら、それって結構いい世界なんじゃないかな、という仮説で、実験的にやっています。
鶴岡:いいっすね。

家入:これなんだっけ?
鶴岡:ぼく、バレンタインで誰からもチョコもらえないんですよ。だから、むしろ、ぼくが取りに行けばいいんじゃないかと思って。笑「ここにいるよ!」ってめっちゃアピールするんですよ。たしか。ぼくが常にGPSで所在地を開示して、そこに持って来てもらうっていうやつですね。

家入:これは逆にチョコねだるやつですね。
鶴岡:超チョコ欲しかったんですね。
(会場:笑)
鶴岡:男性が女性に「チョコくれ」っていうツイートをできて、女性がリンクを踏むと500円払えて僕らがチョコを送るっていう。
すごい流行ると思って2000〜3000枚チョコ買ったんですけど、結局数十枚しか売れなかったんですよね…
家入:ちょっとLivertyの話が長くなってしまいましたけど、まさに彼(鶴岡さん)が起業に至るまでの経緯がすごくよくわかるのではないかと思います。
鶴岡:そうですね。10ヶ月くらいの間、毎月サービス作ってました。
家入:Livertyは、「リバ邸」というシェアハウスの方にシフトしていきました。鶴岡くんもその住人の1人だったんですけど、ほかにも今BASEで活躍している子達とか、DMMに売却したPOOLっていうアプリを作った子とかもいました。今思うと「リバ邸」からでた起業家でバイアウトした人は何人かいるんだよね。
鶴岡:そうですね。
怒られたり褒められたりするから、サービス作りはやめられない
一番辛いのは「無関心」
鶴岡:でも、まあ、これだけサービスを作ると、たくさん怒られるじゃないですか。怒られるって、なんかいいですよね。
だって、なんにもない学生が作ったサービスを、何万人もの人が怒ってくるってすごくないですか?「こんなに影響力あるんだなあ」って。
家入:確かにね。
鶴岡:それでぼくはウェブサービス作るのが好きになりましたね。
家入:一番辛いのは「無関心」だもんね。
鶴岡:そうですね。あと、怒られたり、褒められたりすることを1回知ると、何回でもサービス作れるなと思いましたね。ぼくもなんだかんだBASE作るまで10何個くらいサービス作ってるんで、それはすごいよかったなって思います。
家入:あと、立ち上げる前日とか、リリースする前日って、みんなで徹夜してやるじゃん。あれ味わうと、やめられなくなるよね。
鶴岡:あれいいっすよね。
.jpg-llGDspCL0h_9n_9F)
ー伝説の「しぺぺぺぺぺ事件」
鶴岡:あとみなさんに一個だけ聞きたいことがあって、今日太河さんのツイートを見て来てくれた方もいらっしゃるんじゃないかと思うんですけど。
「家入さんはUberの創業者(=トラビス・カラニック氏)と同じだ」って太河さん(=East Vemtures代表パートナー 松山太河氏)が言っていたじゃないですか。それで、「しぺぺぺぺ事件」で今日来た方はいらっしゃるのかなあと思って。
家入:あまりためになる話じゃないけどいいの?(笑)
昔、ぼくがペパボっていう会社をやっていた時に、「JUGEM」っていうブログサービスをやっておりまして。すごく伸びていて実質国内で1番だったんですけど、サーバートラブルでユーザーのブログが見られなくなってしまって。
ぼくも当時ブログをやっていたんだけど、ぼくはなぜか別サーバーでやっていて、自分だけブログをやっていたんですね。
鶴岡:クソですね(笑)
家入:もともとそうなっていたんですけどね。で、「なんでお前のブログだけ生きてるんだ!」っていうクレームが殺到するわけです。コメント欄にも「なんとかしろ!」みたいなのをいっぱい書かれていて。
その中の一つでめちゃめちゃ怒っている人がいて、「不愉快でしたら削除してください」っていうものがあって、不愉快だったので削除したんですね。
(会場:笑)
家入:そしたらまた「消した!」っていうので炎上して、それに腹が立ってしまって、「しぺぺぺぺ」って書いたら、「ふざけてるぞ」って。
.jpg-wv8YlnaW3kD5pOqh)
(会場:笑)
鶴岡:その「しぺぺぺぺ」はどういう意味なんですか?
家入:ぼくなりのオブラートです。
鶴岡:なるほど、本当は言いたいことがあったけど、超えては行けない一定のラインがあって、それをオブラートにいうと「しぺぺぺぺ」だったんですね。
家入:「ぼくも言いたいことあるんだぞ」っていう意思表示。確かに、ぼくは経営者である。でも経営者である前に一人間である。
鶴岡:なるほど。理解しろと。
家入:まあ当時25歳でしたからね。今だったらそんなことしませんけど。
インターネットの歴史と、現在のインターネット
司会:インターネットの歴史の変遷や現在のインターネットについて、他にも何かお話をいただければと思います。
ーインターネットは「聖域」だった青春時代
家入:ぼくは、22歳で起業してネットサービスをずっとやってきたんですけど、起業する前には中学生で引きこもりになっていたりして、ほとんど家から出ずにパソコンをやっていました。
ネットの向こう側に会ったこともない友達がいて、そういう人たちとチャットで交流するみたいなことをずっとやっていて。
そうやってずっとネットに触れて来たつもりなんだけど、ここ1,2年のネットって一気に風向きが変わった気がしていて、そのモヤモヤした気持ちを本にしたのが「さよならインターネット」なんです。
鶴岡:インターンの子の言葉から始まるところよかったですよね。
家入:そうだね。うちにインターン生がいるんですけど、彼とお茶している時に、「家入さんはインターネットが好きだってよく言っているけど、自分にはその感覚がよくわからないんです」って言われたんです。
どういうこと?って聞いたら、「自分にとってはインターネットって当たり前のように存在していてツールのようなものだから、たとえば『はさみが大好き』って言っているおじさんがいたら変に思う。そんな感じに見える」って言われて。
その時に、「はあ、なるほどなあ」って思って。彼もぼくのところでインターンをしているくらいだからインターネットが大好きなんだろうなと思っていたし、起業している子はだいたいネットが大好きだということが前提だと思っていたけど、結構それって思い込みだったなって思いましたね。
彼はその時は「FacebookもTwitterもやっていなくて、LINEで連絡さえ取れればよくないですか?」みたいな感じだったから、すごい面白いなと思って。
で、「ぼくにとってのインターネットってなんだったっけなあ」というのを遡る旅に出たのがこの本ですね。
鶴岡:今のすっごいかっこいいじゃないですか。
家入:今の言い回しよかったよね(笑)
.jpg-bpHdoyGuYqxbc7fB)
家入:だから、ぼくにとってのインターネットって、要は「聖域」みたいなものだったんですよ。いじめられて家から出られないけれども、声をあげることはできる。
ぼくはCAMPFIREで「小さな火を灯す」ってよく言っているんですけれども、例えば地方にいて「起業したい」とか「カフェやりたい」とか、なんでもいいけど色々なやりたいことがある。そう言った時に「でも力がない」っていう人たちが、小さくてもいいから声をあげられる場所っていうのがインターネットであるとぼくは思っていて。
で、クラウドファンディングはそれをみんなで少しずつのお金で応援するもので。
だから、有名な人がファンからたくさんお金を集めるみたいなものもいいんですけれど、本質は「声なき声」を拾うものであるべきだって思っています。
ーインターネットに「理想郷」はなかった?
家入:そういう意味でインターネットって「聖域」じゃないかと思っていたんですけど、この数年TwitterとかFacebookとか見ても、すごい石が飛び交っているじゃないですか。
要は、うっかり声をあげてしまうと、ボロクソに叩かれてしまう、みたいな。
そういう風になって来ていて、「なんか、ぼくの好きなインターネットじゃないものになってきたな」って。
「インターネット空間は国境を超えて世界中の人と繋がれる」みたいなのがネット黎明期の希望みたいになっていたけど、うーん…希望というか「素晴らしい世界がやってくるぞ!」みたいな感じかな。
GoogleとかAppleとか国を超える会社も出て来て、常にみんなネットで繋がれる状態になって来て、国境を滑らかにしたのがインターネットだったんだけど、いざその世界が実現しはじめると、「実はそこに理想郷はなかった」というか。そんな感じ。
鶴岡:ほう。
家入:だから、インターネット空間は広がっていくけど、人を中心としたスペースはどんどん小さくなっていくだろうな、というのをなんとなく思っていて。
それこそ「マストドン」(=Twitterによく似た短文投稿型のSNS)。あれは時代にすごく合っているなと思っています。
性質上、見えなくなっていくので、一見「終わったよね」って思われていても、その中でめちゃめちゃ濃いコミュニティーになっている可能性もあります。
これからの時代は、ああいう「閉じた」インターネットになっていくんだろうなという気がします。
ー若者にとっては「今が理想のインターネット」
.jpg-47t2sKoovo8kPdeC)
鶴岡:でもぼくとかから見てると、「インターネット変わったな」って言っている人を見ると安心しますね。なんていうか、ここに来ている皆さんは「インターネット変わったな」って思っていないと思うんですよ。
家入:そうだね。
鶴岡:「インターネット変わったな」って思っていないことが、自信に繋がるというか。
家入:あー、なるほどね。
鶴岡:今の若い人はTwitterとかFacebookとかで「炎上する」って言わないと思うんですよ。なぜなら、パーソナルスペースを超持っていて、多分インスタでDMしてる、LINE持ってる、スナチャしてる、Facebookしてる、みたいな感じだから。
なので、必ずしも上の人の考えを理解しないほうがいいかなって思いました。
家入:確かにねー。
鶴岡:理想じゃなくなっているんだろうなっていうのはあるんです。家入さんたちみたいな、「インターネットを作った人」の理想にはなっていない可能性はあるんですけど、多分今ここに来ている人たちにとっては「理想のインターネット」なんだと思っていて。このギャップ、よくないですか?
20歳前半で「インターネット変わったな。ウゼー」っていう人はいないじゃないですか。
家入:そう思うと、ぼくもかつてはそうだったのかな。
鶴岡:絶対そうだと思います。ぼくは中間なのでダメですね。家入さんの言いたいこともわかるし、「実際何が変わったんですか?」っていう人たちの気持ちもわかる。
多分ぼくは中間にいるんだろうけど、おそらく、今20歳くらいの人たちが、これからのサービスを作るんだろうなってのもわかります。
家入:そうだね。なんか、ぼくにとって、「リバ邸」とかもそうだけど、触れ合うことで、全然自分が予想もしていない使い方とか考え方とかを知ることができるから、そういうのが欲しくてエンジェルみたいな形でお金出してたりすることもあるなあ。
鶴岡:なるほどですね。
家入:だって、インスタのメッセンジャーでやりとりしているとか、びっくりしたもん。
鶴岡:僕たちの周りはインスタ誰も見ないっすもんね。「世代間でこんなに違うんだな」ってびっくりします。
家入:未だになんでインスタのメッセンジャーを使うのかがわからない。
鶴岡:確かに、なんでなんですかね。でもインスタの写真が会話の最初のフックになりやすいんじゃないですか?「この写真、やばくない?」みたいな。
家入:あー。なるほどね。…そんな会話する?
鶴岡:いや、しないっす。
(会場:笑)
鶴岡:でも家入さん、昔SMSでしたもんね、ぼくとやりとりしてるの。電話番号のi massageとか。
家入:そうだね。
鶴岡:最近はFacebookでの連絡になってきましたね。
家入:Facebookのメッセンジャーがほとんどかな。最近LINEが来ても気づかないからね。
鶴岡:やばい(笑)
家入:これは、どういうことかなあ。とりのこされてんのかな、ぼく。
鶴岡:笑
家入:ぼく、LINEの未読が1800件ですね。電話の着信が480件。メール47万件。
%20(1).jpg-dYfaDa4L4V9P3azL)
(会場:笑)
鶴岡:じゃあ、家入さんにはFacebookで連絡すればいいんすね?でも、だからこそインスタで連絡する人もいると思うんですよね。
家入:あー、なるほどね。確かに。インスタだったらぼく見るわ。
鶴岡:ほんとっすか?(笑)
家入:わかんない、見ないかも。でも埋もれちゃうからね、他のだったら。
鶴岡:まあ家入さんだけですけどね。