小手先のテクニックではなにも解決しなかった
Q:なるほど。で、就活の結果はどうでしたか?
須田氏:まだ結果の話は早いよ、もうちょいしゃべらせろ(笑)。 まあ、講座とか予備校みたいな座学って結局は気休めというか、小手先のテクニックというか。学んだところで就活の自己PRには使えないですよね。「僕は頑張って予備校に行ってました!」みたいなこと言われても「は?」ですよね。
コピーライター養成講座ってのは、テレビ局よりも広告代理店の方が入りやすそうだと思ったのと、小さい頃から全く本を読まなくて、大学入ってから特に早稲田政経のやつとかから「須田、お前の国語力というかボキャブラの少なさやばくね?」みたいなこと言われてたので、最低限の言葉の勉強をすべきだなと。
で、毎回コピーライティングの宿題とか出されて、優秀な人が金の鉛筆を貰えるみたいな感じで、合計20回ぐらいの講座だったんですけど、結局ゲット出来ませんでしたね。あと宿題も辛かった。コピーとか100個ぐらい考えてそっから絞れとか言われて苦痛でしかありませんでした。
このままだと学生時代にアピール出来ることはないですよね。何か「賞」みたいなものをとればアピール出来るかもと思い、「公募ガイド」って雑誌買ってみたり、電通主催のクリエイティブコンテストみたいなのチェックしてみたり。ただ、なかなか堕落した大学生活でアウトプットを出すのって難しいんですよね、今考えると。結局出さずに終わる、みたいなのばかりでした。
あとリクルートさんが公募していた学生向けフリーペーパー「学生総研」というのがあって、それは面接が無事通って編集メンバーとして15人ぐらいに選ばれたんですが、今考えるとそれはもう少し一生懸命やっても良かったかもなーって思ってます。それも記事を書いてとかの宿題を出されるんですけど、とにかく面倒くさい(笑)。

そして迎える選考での一次敗退と「ベンチャーの面白さ」発見
Q:で、就活の結果は?
須田氏:ダメダメ。就職予備校行ってたので、まあ書類は通るんだけど、やっぱり面接でアピールするものがないよね。テレビ局の就活が一番早かったので、フジテレビ、日テレ、TBSの面接が最初にあったのですが、全て1次敗退(涙)。
もうそっからは毎日高田馬場のゲームセンターに逃げてましたね。「これから俺はどうするべきか」という悶々とした日々でした。家から自転車で30分ぐらいこいで、なるべく人のいない大自然の川のほとりに座り込み、ボーっとして人生を考えたりもよくしていましたね。
このまま次の広告代理店を受けてもダメだろうなと思いました。あと何時間考えても何にもならなそうだったので、とにかく他の会社を見てみようということで会社説明会に行くことにしました。
銀行や商社などの人気業種はもう難しいだろうからそれ以外で。名前の聞いたことのあるベネッセやリクルート。当時の彼女の実家が近かったのでリクシル。ちょっと電通っぽいので電通国際情報サービス。子供が好きだったのでミキハウス。当時まだ小さかったインテリジェンスとか勘定奉行の会社とか。テキトーに見て回ってて、どこもピンと来なかったので就職浪人するつもりでした。けど、1社だけ「ここは面白いかも」って思った会社が出てきました。
Q:それがソフトバンクだったのですね!
須田氏:いやいや。ソフトバンクで孫さんとヤフーBBの立上げやってたっていう、よく若手向けに喋ってる話はその後のことで、実は新卒で入った会社は違うんです。
「イマジニア」って当時50人ぐらいのベンチャー企業でした。社長が早稲田商→トヨタ自動車→松下政経塾で政治家目指す→起業ってキャリアで、専務が一橋商→博報堂→起業でした。当時お二人も40歳過ぎぐらいだと思ったのですが、今までお会いした大人の中で一番魅力的でした。あと現場で働いている若手社員もイキイキしてて、こりゃいいなと。
ただ、当時早稲田でベンチャーに行くやつとか全然いなくて、大学同期のやつらとかには「聞いたことない会社だな、お前騙されてるんじゃないか?」とか言われてましてね。まあ大学で仲よかった奴らの半分は留年してて、就活のアドバイスも全然参考にならないのですが…。現役で受かった奴らは、日テレ、コマツ、JRAとかで、留年組はその後アクセンチュア、韓国財閥商社(大宇)、熊本県庁とか行きました。

「社会との接点」となる経験をするべし。
Q:ご自身の就活を振り返って、今の学生へのメッセージありますか?または最近「インターン」として学生時代から企業で働く経験を持つことについてどう思われますか?
須田氏:時代背景が異なりすぎて、自分の就活事例を今の学生に当てはめることは難しいと思うんですけど、「インターン」はめっちゃいいと思いますよ。自分の場合、やはり学生時代にもっと社会に近い経験をすべきだったなと思っているので。まあファーストフードのバイトはすぐ辞めて、もっと経験値が得れる環境にいくべきだったかもなと(笑)。
僕自身も前職のアエリアという会社で上場ベンチャー企業のCFOだったころに、インターン制度を推進していました。2005年でまだインターン自体もそんなになかった頃ですね。
僕の持論なんですけど、会社って「やったことある奴(上司)がただエバッてる」って構造ありますよね?これがあんまり好きじゃなくて。殆どの仕事が「やれば分かる」って思ったので、若い人には「とっととやらせる」方がどう考えてもいいなと。
なので「エバる上司」にはなりたくなかったので、「何でもやらせる上司」を目指しました。まあ良く言えば「成長環境を提供」してるんですけど、悪く言えば「丸投げ」ですね(笑)。
インターン生には「お前、それインターンにやらせてはダメだろ」と言われるような、責任重大かつ難易度の高いものを丸投げするようにしました。まあ、尻を拭くのはどうせ自分だし、若いやつの方が吸収早いですしね。早稲田の子には子会社の上場準備手伝わせましたし、明治の子には連結決算全般とM&Aとかやらせましたね。
Q:その時の明治大学2年生が現クラウドワークスCFOの佐々木くんですね!最後に学生に向けてメッセージをお願いします!
須田氏:あ、最後に学生に向けてですか?
まあ、人それぞれ、人生それぞれだし、未来はなかなか見えないし、就活も答えのない修行なんですけど、世の中「経験しないと分からないこと」ばかりなので、何事も「とっとと経験する」ことをオススメします! あ、あと「優秀な人」は手堅い安易な道を選ばずに、チャレンジしてください!ニッポンのためにも!
いかがでしたか。何事も「経験」するべきだと語る須田さん。
ビジネスの経験を最短で、かつ沢山できるのが長期インターンシップの魅力です。皆さんも自分にあった長期インターンシップを探して、経験を積んでみませんか?
須田 仁之 (現在は上場企業の監査役や、ベンチャー企業の取締役として活躍中) 1996年3月、早稲田大学商学部卒業。1996年4月、株式会社イマジニアに新卒として入社。その後、転職し、1997年株式会社JSKYB(現 スカパーJSAT)総合企画室、1999年株式会社デジタルクラブ(現 ブロードメディア)企画室、ソフトバンクグループでのYahooBB事業立上げ、グループ会社のIPOなどを経て、2002年株式会社アエリアに入社。2004年12月株式会社アエリアの上場後、子会社ゲームポットの上場やM&A、グループ会社管理などに携わる。2014年には創業期から携わる株式会社クラウドワークスと株式会社弁護士ドットコムが上場。現在も、複数企業の取締役や投資家として活動している。 経歴 1996年 早稲田大学商学部卒業 1996年 株式会社イマジニア 社長秘書 1997年 ソフトバンクグループ 経営企画・事業企画 (スカパー経営企画、子会社ブロードメディア社のIPO、YahooBB事業立上げ) 2002年 株式会社アエリア入社 取締役CFO 2004年 株式会社アエリア IPO 2005年 子会社 株式会社ゲームポット IPO 2006年〜2011年 複数企業のM&A・投資(ゲーム、IT、金融)、上場企業TOBと企業再生 2011年 株式会社アエリア 取締役(非常勤) 2011年〜 複数のベンチャー企業の役員・アドバイザー・アクセラレータ 2014年 関与先2社が株式上場(弁護士ドットコム、クラウドワークス)