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誰でもわかる!決算の読み方【応用編】 Step 2 〜 3 目論見書・決算を読んでみる

三田枝見
2017/12/28

決算に関する著書や「決算が読めるようになるノート」が話題になるなど、働く人にとって、決算を読めることが1つのスキルとして話題になっています。

そんな中、「常に業界地図を持ち歩いている」という、Stockclipのチーフ・アナリストの廣川氏が「決算を読める勉強会」を開催。当日も多くの人が訪れた勉強会を、取材してきました。本稿でその内容をご紹介いたします!

イベントの前半【基本編】はこちら

プロフィール

廣川航

1995年生。現在慶應義塾大学商学部4年。2009年より東洋経済「業界地図」にハマり、企業分析の世界へ。2014年よりTechouseやトーマツベンチャーサポートにてインターン。トーマツベンチャーサポートではFinTechなどのリサーチを担当し、日経BP社の「FinTech世界年鑑2016-2017」も執筆。2017年よりStockclipにてチーフ・アナリストを務める。

Twitterアカウント「@tosyokainoouzi」

伊丹郁人

1998年生。現在上智大学経済学部1年。小学生の頃から複式簿記で家計簿をつける。高校から専門学校で会計を勉強し、現在はUSCPAの勉強中。2017年よりイーストベンチャーズでアソシエイトを務める。

Twitterアカウント「@gamendhsy12727」

Step 2:目論見書を見てみる

廣川: 廣川航と申します。これまで基本的な用語について伊丹くんにお話ししていただきましたが、ここでバトンタッチして、応用的なところも見ていきたいと思います。

まず、目論見書をみていきます。目論見書というのは、会社が上場するときに「わたしはこういう会社です」と示すものです。

「上場」とは、誰でもその会社の株を買えるようになることです。対義語が「未上場」で、未上場の株は限られた人しか取引できません。

上場することのメリットは、大きなお金を一度に調達できたり、会社を設立した創業者や未上場の時に投資した投資家が市場で売却することで利益を得たりすることのほかにも、会社の知名度や信用度をあげたり、株式交換と呼ばれる手法で企業を買収したりすることなどもあげられます。

最近でいうと、家計簿やクラウド会計のMoneyFowardや郵便局を運営する日本郵政などが上場しました。

上場する時に「私はこういう会社ですよ!」というのを教えてくれるのが目論見書で、インターネットで「〇〇株式会社 目論見書」と検索すれば、最近上場した企業であれば見ることが出来ます。

この目論見書には、歴史や事業内容、ビジネスモデル、設備情報、自分の会社のリスク、これまでの取引実績、PL(損益計算書)やBS(貸借対照表)、株主構成などが記載されています。

なので、上場している社長がどれくらいお金を持っているのか知りたいときに利用することが出来ます。皆さん、有名な社長さんがどのくらいお金をもらっているか知りたいですよね(笑)

例えば、「バスキア」を買った「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの社長の前澤さんがどのくらい持っていたかを見てみましょう。

すると、表の右上の部分を見ると80%近く持っていたことがわかります。

また、「みんかぶ」というサイトをみてみると、公開時の時価総額や初値の時価総額が載っています。

スタートトゥデイの場合だと、前澤さんの保有している株式の比率を時価総額にかけると上場時にいくら持っていたかがわかります。

(スタートトゥデイの株式公開情報)

Step 3:実際の企業の決算を見てみる

ではここで早速、実際の企業の決算書を見ていきます。今回は、UUUM(ウーム)とMoneyFowardを例に解説します。

UUUMは、Youtuberのマネジメントを行なっている会社です。ヒカキンやはじめしゃちょーなどのトップYoutuberはUUUMに所属しています。

UUUMには、いくつかのお金の儲け方があります。

まず、企業から頼まれた商品やサービスを紹介するタイアップ収入です。

次に、アドセンス(=Googleの提供しているコンテンツ連動型広告配信サービスの総称)などの収益。

さらに、自社でゲーム作成も行っていて、その売り上げの一部も入ってきています。

UUUMの売り上げは70億円ほどで、そこから売上総利益が20億円ほどあります。この50億円の差はおそらくほとんどがクリエーターに払っているものです。

企業にとって大切なのは、ベンチャー企業であれば売上高やKPIの成長率、その後は利益率だと先ほど伊丹くんが言っていました。(基本編の記事より)

近年上場するベンチャー企業の場合、先行投資を行いその後回収するという動きが多い中で、UUUMがすごいのは、1年目からすでに大きな売上をあげ、更に3期目から黒字化しているという点です。

では、売上構成をみてみましょう。

アドセンスが約40億円。タイアップ収入が約22億円、その他が4.5億円、自社サービスが3億円です。

基本的にアドセンスと広告が伸びていることがわかります。

まずアドセンスは、「1再生あたりの単価」×「再生回数」となっているため、動画が見られる回数と1再生あたりの単価をあげる必要があります。

ただ、この「1再生あたりの単価」は上昇傾向にある一方で、「YouTube」というプラットフォームを利用している限り、UUUMの企業努力では達成できない部分があります。

ただ、再生回数を伸ばすことは、ノウハウの移植で実現が可能です。

以下は、再生回数やチャンネル数をグラフ化したものです。

再生回数とチャンネル数は伸びていますが、1チャンネルあたりの再生回数は下がっています。

次に広告は、「企業とYouTuberのタイアップ数」×「1タイアップあたりの単価」です。

なので、いかに企業にとって「YouTuber」とのタイアップ広告が魅力的か?という設計にするかが大切です。

次に、「誰から最もお金をもらっているのか」という点をみてみます。UUUMの場合、アドセンス収入が大きいので、Googleに依存している部分が非常に大きいです。

実際に上場する際も、売上の57.3%がGoogleからでした。しかし、1つの会社に偏らせることはリスクが高いので、出来るだけ色々な会社からもらった方が好ましいです。

次に、UUUMが上場するにあたってのリスクをみてみます。

Googleとの契約が大きいので、その契約が切られたら苦しくなるということが記載されています。

また、クリエーターが問題を起こしたり、動画を出せなくなると大きな損失が出る可能性があることも記載されています。

そして、YouTubeによくあるゲーム実況に関しても、著作権問題が発生する可能性があり揉める可能性があります。

これらのことを投資家はもっと深く分析し、「どのくらいのリスクがあってどのくらいの時価総額になりそうか?」ということを考えたうえで投資する必要があります。

続いて、「Money Foward」について見ていきます。

「MoneyFoward」には、『Money Foward』という銀行口座やカード登録をしておくと自動で利用履歴や残高を集めて自分のキャッシュフローがわかるようになる家計簿アプリと、『MFクラウド』という企業向けの会計ソフトの2つがあります。

まず、家計簿アプリの『Money Foward』からみていきます。

BtoBtoCといって、家計簿アプリ「Money Foward」のAPI(=アプリケーションプログラミングインタフェース)や企業と提携してに共同開発した「Money Foward for 〇〇」の運用などで売上を立てています。

中でも「Money Foward」がうまいなぁと思うのは、地方銀行と提携していることです。

地方銀行は今後、人口の減少などによって伸びないと言われています。そこで、資産運用のコンサルティングを強化する流れがあり、そこに「Money Foward」のデータを使ってやろうとしているようです。

41%と、収益の中でもっとも多い割合となっているプレミアム課金は、月額500円払うことでサービスが充実化されるというものです。

これは、「課金ユーザー数」×500円で売上が計算できると思うので、だいたい課金ユーザーさんは、8.37万人くらいいるんだなということがわかります。

メディアにおける収入ですが、マネーフォワードのメディアの「Money Plus」の広告枠やマネーフォワードの会員向けのイベント/セミナーの参加費などです。

次に、「MFクラウド」についてみてみます。

「MFクラウド」も上手だなぁと思うのは、会計事務所と提携することもさることながら、お客さんをたくさん抱えている企業さんと提携して販売していることです。

既存の会計ソフトメーカーさんは会計事務所や家電量販店やシステム販売の会社と提携して販売することは多々あったものの、事業会社さんと提携して販売している事例はなかなかありません。

ここで、アライアンスを組んでいる企業の一覧をみてみましょう。

そしてこの大きな2つの事業、これら家計簿アプリの「MoneyFoward」とクラウド会計の「MFクラウド」の売上はだいたい同じです。

次に、売上と営業利益の推移をみてみます。営業利益の赤字の理由は目論見書に載っているので、それをどう捉えるかが重要です。

今回のマネーフォワードの場合は、CMが赤字の理由なのでそれをどう捉えるか。CMは設備投資であり、売り上げの見込みがあるならするべきだと考えられます。

ここで競合企業とMoneyFowardを比較してみます。競合の探し方は、Yahooファイナンスなどで「会計」と検索することで同業他社が出てきます。

もちろん、ほかにもいろいろな見方があると思います。それをたまにStockclipなどを使ってまとめてみると、面白い発見があるかと思います。

最後に

第一回の決算の勉強会の様子を全文にてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

決算を読めるようになることで仕事の幅が広がったり、仕事で活躍できるようになったりする人が出てき始め、今や決算は「経営者や経理担当が読むもの」ではなくなってきました。

いままで何となく決算は難しいものだと思っていた方や、資料を読み分析することに苦手意識を持っていた方も、本稿をきっかけにして決算を読む習慣をつけてみてはいかがでしょうか。

また、本記事のイベントに登壇された廣川氏がチーフ・アナリストを務めるStockclipは、世界中の決算をスマホで見れる決算アプリです。本記事を参考にしながら、気になる企業の決算を見てみてはいかがでしょうか。

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